最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-04-30から1日間の記事一覧

民法900条4号ただし書前段の規定を違憲とする最高裁判所の判断が他の相続における上記規定を前提とした法律関係に及ぼす影響

平成25年9月4日最高裁判所大法廷決定 裁判要旨 1 民法900条4号ただし書前段の規定は,遅くとも平成13年7月当時において,憲法14条1項に違反していた。2 民法900条4号ただし書前段の規定が遅くとも平成13年7月当時において憲法14条1項…

共同抵当の関係にある不動産の一部に対する抵当権の放棄とその余の不動産の譲受人が民法五〇四条所定の免責の効果を主張することの可否

平成3年9月3日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 債務者所有の甲不動産と第三者所有の乙不動産とが共同抵当の関係にある場合において、債権者が甲不動産に設定された抵当権を放棄するなど故意又はけ怠によりその担保を喪失又は減少したときは、その後の乙不…

有責配偶者からの離婚請求が長期間の別居等を理由として認容すべきであるとされた事例

昭和62年9月2日最高裁判所大法廷判決 裁判要旨 一 有責配偶者からされた離婚請求であつても、夫婦がその年齢及び同居期間と対比して相当の長期間別居し、その間に未成熟子がいない場合には、相手方配偶者が離婚によつて精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な…

従業員の金品の不正隠匿の摘発・防止のために行なわれる所持品検査が許されるための要件と従業員の検査の受忍義務 、私鉄の電車運転士が脱靴を伴う靴の中の検査を拒否したことを理由とする懲戒解雇が違法でないとされた事例

昭和43年8月2日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 一、使用者がその従業員に対して金品の不正隠匿の摘発・防止のために行なう所持品検査は、これを必要とする合理的理由に基づいて、一般的に妥当な方法と程度で、しかも制度として、職場従業員に対して画一…

登記の欠缺を主張することができないいわゆる背信的悪意者にあたるとされた事例

昭和43年8月2日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 甲が乙から山林を買い受けて二三年余の間これを占有している事実を知つている丙が、甲の所有権取得登記がされていないのに乗じ、甲に高値で売りつけて利益を得る目的をもつて、右山林を乙から買い受けてそ…

会社と取締役との取引につき取締役会の承認を要しないとされた事例

昭和45年8月20日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 会社と取締役間に商法二六五条所定の取引がなされる場合でも、右取締役が会社の全株式を所有し、会社の営業が実質上右取締役の個人経営のものにすぎないときは、右取引によつて両者の間に実質的に利害相反…

財産の分与に関する処分の審判において当事者双方がその協力によって得た一方当事者の所有名義の不動産であって他方当事者が占有するものにつき当該他方当事者に分与しないものと判断した場合に家事事件手続法154条2項4号に基づきその明渡しを命ずることの許否

令和2年8月6日最高裁判所第一小法廷決定 裁判要旨 家庭裁判所は,財産の分与に関する処分の審判において,当事者双方がその協力によって得た一方当事者の所有名義の不動産であって他方当事者が占有するものにつき,当該他方当事者に分与しないものと判断した…

 化合物の医薬用途に係る特許発明の進歩性の有無に関し当該特許発明の効果が予測できない顕著なものであることを否定した原審の判断に違法があるとされた事例

令和元年8月27日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 化合物の医薬用途に係る特許発明の効果が,その進歩性の有無の判断基準時当時,当該特許発明の構成が奏するものとして当業者が予測することができなかったものか否か,当該構成から当業者が予測することが…

刑法第一七二条にいう虚偽の申告とは、申告の内容をなすところの刑事懲戒の処分の原因となる事実が、客観的真実に反することをいうと解するを相当とする。

昭和33年7月31日最高裁判所第二小法廷決定 裁判要旨 刑法第一七二条にいう虚偽の申告とは、申告の内容をなすところの刑事懲戒の処分の原因となる事実が、客観的真実に反することをいうと解するを相当とする。 刑法 (虚偽告訴等) 第172条人に刑事又は懲戒の…

警察官がビニール袋は車内になかったのに事実に反する疎明資料を作成して令状を請求し,証拠の収集手続に重大な違法があるかどうかを判断しないまま,証拠能力が否定されないとした原判決は,法令の解釈適用を誤った違法がある。

令和3年7月30日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 警察官が,被告人の自動車内にチャック付きビニール袋を確認した旨の疎明資料を作成して同車に対する捜索差押許可状及び強制採尿令状を請求して上記各令状の発付を受け,同車内から覚醒剤等の薬物を差し押…

産業廃棄物の最終処分場の周辺住民が産業廃棄物処分業及び特別管理産業廃棄物処分業の許可処分の無効確認訴訟並びに上記各処分業の許可更新処分の取消訴訟の原告適格を有するとされた事例

平成26年7月29日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 1 産業廃棄物の最終処分場の周辺に居住する住民のうち,当該最終処分場から有害な物質が排出された場合にこれに起因する大気や土壌の汚染,水質の汚濁,悪臭等による健康又は生活環境に係る著しい被害を…