最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-05-06から1日間の記事一覧

国民年金法に基づく年金の受給資格を有する者が国に対して未支給年金の支払を求める訴訟の係属中に死亡した場合における訴訟承継の成否

平成7年11月7日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 国民年金法(昭和六〇年法律第三四号による改正前のもの)に基づく年金の受給資格を有する者が国に対して未支給年金の支払を求める訴訟の係属中に死亡した場合には、右訴訟は当然に終了し、同法一九条一項…

地方公共団体の男性職員が勤務時間中に訪れた店舗の女性従業員にわいせつな行為等をしたことを理由とする停職6月の懲戒処分に裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があるとした原審の判断に違法があるとされた事例

平成30年11月6日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 地方公共団体の男性職員が勤務時間中に訪れた店舗においてその女性従業員の手を自らの下半身に接触させようとするなどのわいせつな行為等をしたことを理由とする停職6月の懲戒処分がされた場合において,…

自己を被保険者とする生命保険契約の契約者が死亡保険金の受取人を変更する行為は,民法1031条に規定する遺贈又は贈与に当たるものではなく,これに準ずるものということもできない。

平成14年11月5日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 自己を被保険者とする生命保険契約の契約者が死亡保険金の受取人を変更する行為は,民法1031条に規定する遺贈又は贈与に当たるものではなく,これに準ずるものということもできない。 https://www.cou…

会社の取締役が私用のため会社所有の自動車を使用し同乗の従業員に一時運転させている間に右従業員の惹起した事故により受傷した場合に会社に対し自動車損害賠償保障法三条にいう他人であることを主張して損害賠償を請求することができないとされた事例

昭和50年11月4日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 会社の取締役が従業員の運転する会社所有の自動車に乗車中従業員の惹起した事故により受傷した場合において、右取締役が業務時間外にトルコ風呂に行くためみずからその自動車を運転して数時間にわたつて走…

交通事故により被害者に身体傷害及び車両損傷を理由とする各損害が生じた場合における,被害者の加害者に対する車両損傷を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権の民法724条前段所定の消滅時効の起算点

令和3年11月2日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 交通事故の被害者の加害者に対する車両損傷を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権の民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条前段所定の消滅時効は,同一の交通事故により同一の被…

株式会社の訴訟上の代表者と現行商法第9条の適用の有無  議決権行使の代理人の資格を株主に制限する旨の定款の規定の効力

昭和43年11月1日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 商法第9条(旧12条)は、当事者である株式会社を訴訟上代表する権限を有する者を定めるにあたつては、適用されない。議決権を行使する株主の代理人の資格を当該会社の株主に制限する旨の定款の規定は、…

 公職選挙法204条の選挙無効訴訟において,選挙人は,同法205条1項所定の選挙無効の原因として被選挙権年齢の規定の違憲を主張することができない。

平成29年10月31日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 公職選挙法204条の選挙無効訴訟において,選挙人は,同法205条1項所定の選挙無効の原因として同法10条1項2号の規定の違憲を主張することができない。 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp…

租税法規に適合する課税処分について信義則の法理の適用による違法を考え得るのは、納税者間の平等公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合でなければない。

昭和62年10月30日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 租税法規に適合する課税処分について信義則の法理の適用による違法を考え得るのは、納税者間の平等公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正…

役員退職慰労金贈呈の株主総会決議取消しの訴えの係属中に当該決議と同一の内容の決議がされた場合と訴えの利益

平成4年10月29日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 役員退職慰労金贈呈の株主総会決議取消しの訴えの係属中、右決議と同一の内容を持ち、右決議の取消判決が確定した場合にはさかのぼって効力を生ずるものとされている決議が有効に成立し、それが確定したと…

財産の分与に関する処分の審判の申立てを却下する審判に対し相手方が即時抗告をすることの許否

令和3年10月28日最高裁判所第一小法廷決定 裁判要旨 財産の分与に関する処分の審判の申立てを却下する審判に対し,夫又は妻であった者である相手方は,即時抗告をすることができる。 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90659 https://www.c…

 市の住民が市長に対し損失補償契約に基づく金融機関等への公金の支出の差止めを求める訴えが不適法とされた事例

平成23年10月27日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 市が法人の債権者である金融機関等との間で損失補償契約を締結した場合において,市の住民が市長に対し上記契約に基づく上記金融機関等への公金の支出の差止めを求める訴えは,当該法人が清算手続に移行…

航行中の航空機同士の異常接近事故について,便名を言い間違えて降下の管制指示をした実地訓練中の航空管制官及びこれを是正しなかった指導監督者である航空管制官の両名に業務上過失傷害罪が成立するとされた事例

平成22年10月26日最高裁判所第一小法廷決定 裁判要旨 航行中の航空機甲機及び乙機が著しく接近し,両機の衝突を避けるために急降下した甲機の乗客らが負傷した事故について,実地訓練中の航空管制官において両機が異常接近しつつあることを知らせる警報を認…

医療法(平成12年法律第141号による改正前のもの)30条の7の規定に基づき都道府県知事が病院を開設しようとする者に対して行う病床数削減の勧告と抗告訴訟の対象

平成17年10月25日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 医療法(平成12年法律第141号による改正前のもの)30条の7の規定に基づき都道府県知事が病院を開設しようとする者に対して行う勧告で,開設申請に係る病床数の病院が開設されると医療計画によっ…