最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-05-09から1日間の記事一覧

使用者が労働者の同意の下に労働者の退職金債権等に対してした相殺が有効とされた事例  使用者が労働者の同意の下に労働者の退職金債権等に対してして相殺が否認権行使の対象とならないとされた事例

平成2年11月26日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 一 使用者が労働者の同意を得て労働者の退職金債権に対してする相殺は、右同意が労働者の自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、労働基準法(昭和…

普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰と司法審査

令和2年11月25日最高裁判所大法廷判決 裁判要旨 普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰の適否は,司法審査の対象となる。(補足意見がある。) https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89851 https://www.courts.go.jp/app/files/…

求償権が再生債権である場合において共益債権である原債権を再生手続によらないで行使することの可否

平成23年11月24日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 弁済による代位により民事再生法上の共益債権を取得した者は,同人が再生債務者に対して取得した求償権が再生債権にすぎない場合であっても,再生手続によらないで上記共益債権を行使することができる。…

金銭債務の担保として既発生債権及び将来債権を一括して譲渡するいわゆる集合債権譲渡担保契約における債権譲渡の第三者に対する対抗要件

平成13年11月22日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 甲が乙に対する金銭債務の担保として,甲の丙に対する既に生じ,又は将来生ずべき債権を一括して乙に譲渡することとし,乙が丙に対して担保権実行として取立ての通知をするまでは甲に譲渡債権の取立てを…

殺人の公訴事実について、自殺の主張は客観的証拠と矛盾するなどとして有罪の第1審判決の結論を是認した原判決に、審理不尽の違法、事実誤認の疑いがあるとされた事例

令和4年11月21日最高裁判所第一小法廷判決 判示事項 殺人の公訴事実について、自殺の主張は客観的証拠と矛盾するなどとして有罪の第1審判決の結論を是認した原判決に、審理不尽の違法、事実誤認の疑いがあるとされた事例 https://www.courts.go.jp/app/hanr…

天皇と民事裁判権

平成元年11月20日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 天皇には民事裁判権は及ばない。 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52451 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/451/052451_hanrei.pdf 天皇は日本国の象徴であり日本国民統…

公文書一部公開拒否処分取消請求事件

平成11年11月19日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 一 いわゆる池子弾薬庫跡地内に所在する逗子市所有地の管理又は国への移転登記に関し必要な措置を講ずべきこと等を求める住民監査請求につき逗子市監査委員が横浜防衛施設局職員から事情聴取をした内容を…

保釈許可決定に対する抗告の決定に対する特別抗告事件

平成26年11月18日最高裁判所第一小法廷決定 裁判要旨 1 受訴裁判所によってされた刑訴法90条による保釈の判断に対して,抗告審としては,受訴裁判所の判断が委ねられた裁量の範囲を逸脱していないかどうか,すなわち,不合理でないかどうかを審査すべきで…

勾留請求却下の裁判に対する準抗告の決定に対する特別抗告事件

平成26年11月17日最高裁判所第一小法廷決定 判示事項 迷惑行為防止条例違反被疑事件において勾留請求を却下した原々裁判を取り消して勾留を認めた原決定に刑訴法60条1項,426条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例 https://www.courts.go.jp/app…

刑事裁判における国民の司法参加と憲法

平成23年11月16日最高裁判所大法廷判決 裁判要旨 1 憲法は,刑事裁判における国民の司法参加を許容しており,憲法の定める適正な刑事裁判を実現するための諸原則が確保されている限り,その内容を立法政策に委ねている。2 裁判員制度は,憲法31条,32…

民法770条1項1号の不貞な行為の意義

昭和48年11月15日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 民法七七〇条一項一号の不貞な行為とは、配偶者のある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいい、相手方の自由な意思にもとづくものであるか否かは問わない。 https://ww…