最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-05-18から1日間の記事一覧

ワープロを操作して秘密証書遺言の遺言書の表題及び本文を入力し印字した者が民法970条1項3号にいう筆者であるとされた事例

平成14年9月24日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 秘密証書によって遺言をするに当たり,遺言者以外の者が,市販の遺言書の書き方の文例を参照し,ワープロを操作して,文例にある遺言者等の氏名を当該遺言の遺言者等の氏名に置き換え,そのほかは文例のま…

自筆遺言証書に真実遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されているからといって同証書による遺言が無効となるものではないとされた事例

令和3年1月18日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 遺言者が,入院中の日に自筆証書による遺言の全文,同日の日付及び氏名を自書し,退院して9日後(全文等の自書日から27日後)に押印したなど判示の事実関係の下においては,同自筆証書に真実遺言が成立…

日本電信電話公社がその職員に対し頸肩腕症候群総合精密検診の受診を命じた業務命令が有効であるとしてこれに違反したことを理由とする戒告処分が適法であるとされた事例

昭和61年3月13日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 日本電信電話公社(昭和五九年法律第八五号日本電信電話株式会社法附則一一条による廃止前の日本電信電話公社法に基づき設立されたもの)が健康管理上の措置が必要であると認められる職員に対し二週間の入…

専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても,直ちに当該養子縁組について民法802条1号にいう「当事者間に縁組をする意思がないとき」に当たるとすることはできない。

平成29年1月31日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても,直ちに当該養子縁組について民法802条1号にいう「当事者間に縁組をする意思がないとき」に当たるとすることはできない。 https://www.courts.…

いわゆる方便としてされた協議離婚が有効とされた事例

昭和57年3月26日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 夫婦が事実上の婚姻関係を継続しつつ、単に生活扶助を受けるための方便として協議離婚の届出をした場合でも、右届出が真に法律上の婚姻関係を解消する意思の合致に基づいてされたものであるときは、右協議…

民法七四二条一号にいう「当事者間に婚姻をする意思がないとき」の意義

昭和44年10月31日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 民法七四二条一号にいう「当事者間に婚姻をする意思がないとき」とは、当事者間に真に社会観念上夫婦であると認められる関係の設定を欲する効果意思を有しない場合を指し、たとえ婚姻の届出自体について…

 勾留請求却下の裁判に対する準抗告の決定に対する特別抗告事件

平成26年11月17日最高裁判所第一小法廷決定 判示事項 迷惑行為防止条例違反被疑事件において勾留請求を却下した原々裁判を取り消して勾留を認めた原決定に刑訴法60条1項,426条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例 https://www.courts.go.jp/app…

勾留の裁判に対する準抗告の裁判に対する特別抗告事件

平成30年10月31日最高裁判所第二小法廷決定 判示事項 勾留の裁判に関する準抗告決定(原裁判取消し,勾留請求却下)に対する検察官からの特別抗告が棄却された事例 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/095/088095_hanrei.pdf 本件抗告の趣意は,…

勾留請求却下の裁判に対する準抗告の決定に対する特別抗告事件

平成27年10月22日最高裁判所第二小法廷決定 判示事項 業務上横領被疑事件において勾留請求を却下した原々裁判を取り消して勾留を認めた原決定に刑訴法60条1項の解釈適用を誤った違法があるとされた事例 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/401…

誤った振込みがあることを知った受取人がその情を秘して預金の払戻しを受けた場合と詐欺罪の成否

平成15年3月12日最高裁判所第二小法廷決定 裁判要旨 誤った振込みがあることを知った受取人が,その情を秘して預金の払戻しを請求し,その払戻しを受けた場合には,詐欺罪が成立する。 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50004 https://www…

収入金額を確定申告の額より増額しながら必要経費の額を確定申告の額のままとしたため所得金額を過大に認定した所得税の更正が国家賠償法上違法でないとされた事例

平成5年3月11日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 税務署長が収入金額を確定申告の額より増額しながら必要経費の額を確定申告の額のままとして所得税の更正をしたため、所得金額を過大に認定する結果となったとしても、確定申告の必要経費の額を上回る金額…

雇用契約に基づく残業手当等の支払により労働基準法37条の割増賃金が支払われたものとした原審の判断に違法があるとされた事例

令和5年3月10日最高裁判所第二小法廷判決 雇用契約に基づく残業手当等の支払により労働基準法37条の割増賃金が支払われたものとした原審の判断に違法があるとされた事例 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/858/091858_hanrei.pdf 上告代理人の…

覚せい剤輸入罪及び所持罪における覚せい剤であることの認識の程度

平成2年2月9日最高裁判所第二小法廷決定 覚せい剤輸入罪及び所持罪における覚せい剤であることの認識の程度 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/875/057875_hanrei.pdf 所論にかんがみ、職権により検討する。 原判決の認定によれば、被告人は、本…

被疑者方居室に対する捜索差押許可状により同居室を捜索中に被疑者あてに配達され同人が受領した荷物について同許可状に基づき捜索することの可否

平成19年2月8日最高裁判所第一小法廷決定 裁判要旨 被疑者方居室に対する捜索差押許可状により同居室を捜索中に被疑者あてに配達され同人が受領した荷物についても,同許可状に基づき捜索することができる。 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2…

あん摩マツサージ指圧師,はり師,きゆう師等に関する法律19条1項は,憲法22条1項に違反しない。

令和4年2月7日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 あん摩マツサージ指圧師,はり師,きゆう師等に関する法律19条1項は,憲法22条1項に違反しない。(意見がある。) https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90902 https://www.courts.go.j…

1公立学校における教師の教育活動と国家賠償法一条一項にいう「公権力の行使」   2損害賠償請求権者が一時金による支払を訴求している場合と定期金による支払を命ずる判決の許否

昭和62年2月6日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 1 国家賠償法一条一項にいう「公権力の行使」には、公立学校における教師の教育活動も含まれる。 2 損害賠償請求権者が訴訟上一時金による支払を求めている場合には、定期金による支払を命ずる判決をする…

都有行政財産である土地についての使用許可の取消と損失補償

昭和49年2月5日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 都有行政財産である土地について建物所有を目的とし期間の定めなくされた使用許可が当該行政財産本来の用途又は目的上の必要に基づき将来に向つて取り消されたときは、使用権者は、特別の事情のないかぎり…

会社の被用者が私用のため会社の自動車を運転中他人に加えた損害が民法第七一五条の会社の「事業ノ執行ニ付キ」生じたものとされた事例。

昭和39年2月4日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 自動車の販売等を業とする会社の販売課に勤務する被用者が、退社後映画見物をして帰宅のための最終列車に乗り遅れたため、私用に使うことが禁止されていた会社内規に違反して会社の自動車を運転し、帰宅す…

被告人を死刑に処した裁判員裁判による第1審判決を量刑不当として破棄し無期懲役に処した原判決の量刑が維持された事例

平成27年2月3日最高裁判所第二小法廷決定 裁判要旨 殺人等の罪により懲役20年の刑に服した前科がある被告人が被害者1名を殺害した住居侵入,強盗殺人の事案において,本件犯行とは関連が薄い前記前科があることを過度に重視して死刑に処した裁判員裁判に…