最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-05-22から1日間の記事一覧

 1 共有者全員が提起した共有権確認訴訟と固有必要的共同訴訟   2 共有者全員が提起した共有権に基づく所有権移転登記手続請求訴訟と固有必要的共同訴訟

昭和46年10月7日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 1 一個の物を共有する数名の者全員が、共同原告となり、共有権(その数名が共同して有する一個の所有権)に基づき共有権の確認を求めているときは、その訴訟の形態は、固有必要的共同訴訟と解すべきである…

 インターネットを利用して短文の投稿をすることができる情報ネットワークにおいてある者のプライバシーに属する事実を摘示するメッセージが投稿された場合にその者が上記情報ネットワークの運営者に対して上記メッセージの削除を求めることができるとされた事例

令和4年6月24日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 インターネットを利用して短文の投稿をすることができる情報ネットワークにおいて、ある者が建造物侵入の被疑事実により逮捕されたというその者のプライバシーに属する事実を摘示するメッセージの投稿がさ…

相続財産分与の審判前に特別縁故者に当たると主張する者が提起した遺言無効確認の訴えと訴えの利益の有無

平成6年10月13日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 民法九五八条の三第一項の規定による相続財産の分与の審判前に特別縁故者に当たると主張する者が提起した遺言無効確認の訴えは、訴えの利益を欠く。 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/696/06…

共同相続人間における相続人の地位不存在確認の訴えと固有必要的共同訴訟

平成16年7月6日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 共同相続人が,他の共同相続人に対し,その者が被相続人の遺産につき相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えは,固有必要的共同訴訟である。 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/382/052…

子に対する保護責任者遺棄致死被告事件について,被告人の故意を認めず無罪とした第1審判決に事実誤認があるとした原判決に,刑訴法382条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例

平成30年3月19日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 1 刑法218条の不保護による保護責任者遺棄罪の実行行為は,老年者,幼年者,身体障害者又は病者につきその生存のために特定の保護行為を必要とする状況(要保護状況)が存在することを前提として,そ…

 市町村が設置する中学校の教諭が生徒に与えた損害を国家賠償法1条1項,3条1項に従い賠償した都道府県が当該中学校を設置する市町村に対して同条2項に基づき取得する求償権の範囲

平成21年10月23日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 市町村が設置する中学校の教諭がその職務を行うについて故意又は過失によって違法に生徒に損害を与えた場合において,当該教諭の給料その他の給与を負担する都道府県が国家賠償法1条1項,3条1項に従…

医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律36条の6第1項及び3項と憲法22条1項

令和3年3月18日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律36条の6第1項及び3項は,憲法22条1項に違反しない。 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/141/090141_hanrei.pdf 第1 …

入会部落の慣習に基づく入会集団の会則のうち入会権者の資格を原則として男子孫に限定し同入会部落の部落民以外の男性と婚姻した女子孫は離婚して旧姓に復しない限り入会権者の資格を認めないとする部分が民法90条の規定により無効とされた事例

平成18年3月17日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 1 A入会部落の慣習に基づく入会集団の会則のうち入会権者の資格要件を一家の代表者としての世帯主に限定する部分は,現在においても,公序良俗に反するものということはできない。 2 A入会部落の慣習…

 不動産の取得時効の完成後,所有権移転登記がされることのないまま,第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了した場合における,再度の取得時効の完成と上記抵当権の消長

平成24年3月16日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 不動産の取得時効の完成後,所有権移転登記がされることのないまま,第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了した場合において,上記不動産の時効取得者である占有者が,その後引き続…

車両に使用者らの承諾なく秘かにGPS端末を取り付けて位置情報を検索し把握する刑事手続上の捜査であるGPS捜査は令状がなければ行うことができない強制の処分か

平成29年3月15日最高裁判所大法廷判決 裁判要旨 車両に使用者らの承諾なく秘かにGPS端末を取り付けて位置情報を検索し把握する刑事手続上の捜査であるGPS捜査は,個人のプライバシーの侵害を可能とする機器をその所持品に秘かに装着することによって,…