最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-05-24から1日間の記事一覧

新会社が旧会社と法人格を異にするとの実体法上および訴訟法上の主張が信義則に反し許されないとされた事例

昭和48年10月26日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 株式会社の代表取締役が、会社が賃借している居室の明渡し、延滞賃料等の債務を免れるために、会社の商号を変更したうえ、旧商号と同一の商号を称し、その代表取締役、監査役、本店所在地、営業所、什器…

債権譲渡人について支払停止又は破産の申立てがあったことを停止条件とする債権譲渡契約に係る債権譲渡と破産法72条2号による否認

平成16年9月14日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 債権譲渡人について支払停止又は破産の申立てがあったことを停止条件とする債権譲渡契約に係る債権譲渡は,破産法72条2号に基づく否認権行使の対象となる。 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei…

 破産管財人が別除権の目的である不動産の受戻しについて上記別除権を有する者との間で交渉し又は上記不動産につき権利の放棄をする前後に上記の者に対してその旨を通知するに際し、上記の者に対して破産者を債務者とする上記別除権に係る担保権の被担保債権についての債務の承認をしたときに、その承認は上記被担保債権の消滅時効を中断する効力を有するか

令和5年2月1日最高裁判所第三小法廷決定 裁判要旨 破産管財人が、別除権の目的である不動産の受戻しについて上記別除権を有する者との間で交渉し、又は、上記不動産につき権利の放棄をする前後に上記の者に対してその旨を通知するに際し、上記の者に対して破…

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律11条2項、46条1号と憲法14条1項

令和5年1月23日最高裁判所第一小法廷判決 判示事項 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律11条2項、46条1号は,憲法14条1項に違反しない。 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/702/091702_hanrei.pdf 1 弁護人の上告趣意のうち…

統合失調症の治療のため精神科病院に任意入院者として入院した患者が無断離院をして自殺した場合において、上記病院の設置者に無断離院の防止策についての説明義務違反があったとはいえないとされた事例

令和5年1月27日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 統合失調症の治療のため精神科病院に任意入院者として入院した患者が、単独での院内外出(病棟から上記病院の敷地内への外出)を許可され、敷地外への単独での外出を許可されていなかったにもかかわらず、…

個品割賦購入あっせんにおいて,購入者と販売業者との間の売買契約が公序良俗に反し無効であることにより,購入者とあっせん業者との間の立替払契約が無効となるか

平成23年10月25日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 個品割賦購入あっせんにおいて,購入者と販売業者との間の売買契約が公序良俗に反し無効とされる場合であっても,販売業者とあっせん業者との関係,販売業者の立替払契約締結手続への関与の内容及び程度…

国が連合国最高司令官総司令部の発した覚書に従い南方地域から帰還した日本人捕虜に対して抑留期間中の労働賃金を決済する措置を講じてきたことを理由としてシベリア抑留者が憲法一四条に基づき国に対して抑留期間中の労働賃金の支払を請求することの可否

平成9年3月13日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 1 シベリア抑留者は、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との共同宣言六項後段に定める請求権放棄によりソヴィエト社会主義共和国連邦に対して損害の賠償を求めることが実際上不可能となったことによる…

国家賠償法一条一項に基づく損害賠償請求に憲法二九条三項に基づく損失補償請求を控訴審において予備的・追加的に併合する場合の相手方の同意の要否

平成5年7月20日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 1 国家賠償法一条一項の規定に基づく損害賠償請求に憲法二九条三項の規定に基づく損失補償請求を予備的、追加的に併合することが申し立てられた場合において、右予備的請求が、主位的請求と被告を同じくす…