最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-05-27から1日間の記事一覧

 金融機関が記名式定期預金の預金者と誤認した者に対する貸付債権をもつてした預金債権との相殺につき民法四七八条が類推適用されるために必要な注意義務を尽くしたか否かの判断の基準時

昭和59年2月23日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 金融機関が、記名式定期預金につき真実の預金者甲と異なる乙を預金者と認定して乙に貸付をしたのち、貸付債権を自働債権とし預金債権を受働債権としてした相殺が民法四七八条の類推適用により甲に対して効…

 会社法346条1項に基づき退任後もなお会社の役員としての権利義務を有する者に対する解任の訴えの許否

平成20年2月26日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 会社法346条1項に基づき退任後もなお会社の役員としての権利義務を有する者の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があった場合において,同法854条を適用又は類推…

外国国家が私人との間の契約に含まれた明文の規定により我が国の民事裁判権に服することを約した場合と民事裁判権の免除

平成18年7月21日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 1 外国国家は,主権的行為以外の私法的ないし業務管理的な行為については,我が国による民事裁判権の行使が当該外国国家の主権を侵害するおそれがあるなど特段の事情がない限り,我が国の民事裁判権に服…

刑訴法39条3項本文の規定は、憲法34条前段、37条3項、38条1項に違反しない。

平成11年3月24日最高裁判所大法廷判決 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/506/052506_hanrei.pdf 一 刑訴法三九条三項本文の規定と憲法三四条前段所論は、要するに、身体の拘束を受けている被疑者と弁護人又は弁護人を選任することができる者の…

債務者の破産手続開始の決定後に物上保証人が複数の被担保債権のうちの一部の債権につきその全額を弁済した場合に,債権者が破産手続において上記弁済に係る債権を行使することの可否

平成22年3月16日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 債務者の破産手続開始の決定後に,物上保証人が複数の被担保債権のうちの一部の債権につきその全額を弁済した場合には,複数の被担保債権の全部が消滅していなくても,上記の弁済に係る当該債権については…