最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-05-28から1日間の記事一覧

株式会社の新設分割において,会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律3条によれば分割をする会社との労働契約が分割によって設立される会社に承継されるものとされている労働者につき,当該承継の効力が生じないとはいえないとされた事例

平成22年7月12日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 1 株式会社の新設分割において,会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律(平成17年法律第87号による改正前のもの)3条によれば分割をする会社との労働契約が分割によって設立される会社に承継…

権利能力のない社団である入会団体の代表者が総有権確認請求訴訟を原告の代表者として追行する場合における特別の授権の要否    権利能力のない社団である入会団体の代表者でない構成員が総有不動産についての登記手続請求訴訟の原告適格を有する場合

平成6年5月31日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 一 入会権者である村落住民が入会団体を形成し、それが権利能力のない社団に当たる場合には、右入会団体は、構成員全員の総有に属する不動産についての総有権確認請求訴訟の原告適格を有する。二 権利能力…

検察官が検察庁の庁舎内に接見の場所が存在しないことを理由として同庁舎内に居る被疑者との接見の申出を拒否したにもかかわらず弁護人が同庁舎内における即時の接見を求め即時に接見をする必要性が認められる場合に検察官が執るべき措置

平成17年4月19日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 1 弁護人から検察庁の庁舎内に居る被疑者との接見の申出を受けた検察官は,同庁舎内に,その本来の用途,設備内容等からみて,検察官が,その部屋等を接見のためにも用い得ることを容易に想到することが…

営業の重要な一部を譲渡する旨の決議がされた株主総会の招集通知に右営業の譲渡の要領を記載しなかった違法がある場合に決議の取消請求を棄却することの可否

平成7年3月9日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 営業の重要な一部を譲渡する旨の株主総会決議がされたが、右営業の譲渡の要領を株主総会の招集通知に記載しなかった違法がある場合には、右違法が重大でないとはいえず、商法二五一条により右決議の取消請求…

デイーゼル・エンジン自動車の運転者の失火と業務上失火罪の成否

昭和46年12月20日最高裁判所第二小法廷決定 裁判要旨 自動車に装置したデイーゼル・エンジンの排気管は、運転中著しく高温となり、これに可燃物が接触すると火災発生の危険があるのに、運転者が、排気管と接触するおそれのある状態で運転席の床にゴム板を装…

市立中学校の生徒が課外クラブ活動としての柔道部の回し乱取り練習中に負傷した事故について顧問教諭に指導上の過失がないとされた事例

平成9年9月4日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 市立中学校の一年生甲が、同校の課外クラブ活動としての柔道部の回し乱取り練習中に、二年生乙から大外刈りの技をかけられて負傷した場合において、甲が、右の事故当時、回し乱取り練習に通常必要とされる受…

共同親権者間における幼児の人身保護請求につき被拘束者が拘束者に監護されることが請求者による監護に比べて子の幸福に反することが明白であるものとして拘束の違法性が顕著であるとされる場合

平成6年4月26日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 夫婦の一方が他方に対し、人身保護法に基づき、共同親権に服する幼児の引渡しを請求するに際し、他方の配偶者の親権の行使が家事審判規則五二条の二の仮処分等により実質上制限されているのに右配偶者がこ…

貸金の支払を求める訴訟において,前訴でその貸金に係る消費貸借契約の成立を主張していた被告が同契約の成立を否認することは信義則に反するとの原告の主張を採用しなかった原審の判断に違法があるとされた事例

令和元年7月5日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 XがAからYに対する貸金返還請求権を譲り受けたとしてYに対し貸金の支払を求める訴訟において,YがAから金員を受領したことを認めたが同金員に係る金銭消費貸借契約の成立を否認した場合において,次…

1 被告人の経歴等と詳細な記載がある起訴状が刑訴法第二五六条第六項に違反しないとされた一事例 2 恐喝の手段として郵送された脅迫文書の殆んど全文が記載された起訴状と刑訴法第二五六条第六項

昭和33年5月20日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 一 本件起訴状に被告人の経歴等に関する詳細な記載があるからといつてそれが刑訴法第二五六条第六項に違反するものであるということはできない二 恐喝の手段として被害者に郵送された脅迫文書の趣旨が婉曲…

鉄道高架下施設の一部分の賃貸借契約に借家法の適用があるとされた事例

平成4年2月6日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 鉄道高架下施設が土地に定着し、周壁を有し、鉄道高架を屋根としており、永続して営業の用に供することが可能なものであって、その一部分が他の部分とは客観的に区別されていて、独立的、排他的な支配が可能…