最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-07-14から1日間の記事一覧

 酒気帯び運転を理由とする懲戒免職処分を受けて公立学校教員を退職した者に対してされた一般の退職手当等の全部を支給しないこととする処分に係る判断が、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとはいえないとされた事例

令和5年6月27日最高裁判所第三小法廷判決 判示事項 酒気帯び運転を理由とする懲戒免職処分を受けて公立学校教員を退職した者に対してされた一般の退職手当等の全部を支給しないこととする処分に係る判断が、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとは…

消費者金融会社の係員を欺いてローンカードを交付させた上これを利用して同社の現金自動入出機から現金を引き出した場合の罪責

平成14年2月8日最高裁判所第三小法廷決定 裁判要旨 消費者金融会社の係員を欺いてローンカードを交付させた上これを利用して同社の現金自動入出機から現金を引き出した場合には,同係員を欺いて同カードを交付させた点につき詐欺罪が成立し,同カードを利用…

建築請負の仕事の目的物である建物に重大な瑕疵があるためにこれを建て替えざるを得ない場合に注文者が請負人に対し建物の建て替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することの可否

平成14年9月24日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 建築請負の仕事の目的物である建物に重大な瑕疵があるためにこれを建て替えざるを得ない場合には,注文者は,請負人に対し,建物の建て替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することができる。 https:/…

 買主が履行期前にした土地の測量及び履行の催告が民法五五七条一項にいう履行の着手に当たらないとされた事例

平成5年3月16日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 土地及び建物の買主が、履行期前において、土地の測量をし、残代金の準備をして口頭の提供をした上で履行の催告をしても、売主が移転先を確保するため履行期が約一年九か月先に定められ、右測量及び催告が…

金銭消費貸借に係る基本契約が順次締結され,これらに基づく金銭の借入れと弁済が繰り返された場合において,各基本契約に当初の契約期間の経過後も当事者からの申出がない限り当該契約を2年間継続し,その後も同様とする旨の定めが置かれていることから,先に締結された基本契約に基づく取引により発生した各過払金をその後に締結された基本契約に基づく取引に係る各借入金債務に充当する旨の合意が存在するとした原審の判断に違法があるとされた事例

平成23年7月14日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 金銭消費貸借に係る基本契約が順次締結され,これらに基づく金銭の借入れと弁済が繰り返された場合において,先に締結された基本契約に基づく最終の弁済からその後に締結された基本契約に基づく最初の貸付…

警察官が捜査の過程で作成し保管するメモが証拠開示命令の対象となるものか否かの判断を行うために,裁判所が検察官に対し同メモの提示を命ずることの可否

平成20年6月25日最高裁判所第三小法廷決定 裁判要旨 1 犯罪捜査に当たった警察官が犯罪捜査規範13条に基づき作成した備忘録であって,捜査の経過その他参考となるべき事項が記録され,捜査機関において保管されている書面は,当該事件の公判審理において…

裁判員裁判で弁護人に対し証拠開示することを命じる旨求めた弁護人からの証拠開示命令請求(刑訴法316条の26第1項)の棄却決定に対する即時抗告提起期間の起算日

平成23年8月31日最高裁判所第三小法廷決定 裁判要旨 弁護人に対し証拠開示することを命じる旨求めた弁護人からの証拠開示命令請求(刑訴法316条の26第1項)を棄却する決定については,即時抗告の提起期間は,同決定の謄本が弁護人に送達された日から進…

破産管財人が破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除した際に賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に敷金を充当する旨の合意をして質権の設定された敷金返還請求権の発生を阻害したことが質権設定者の質権者に対する目的債権の担保価値を維持すべき義務に違反するとされた事例(重要)

平成18年12月21日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 1 破産管財人が,破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除するに際し,賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に破産者が差し入れていた敷金を充当する旨の合意をし,質権の設定された敷金返還請求…