最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-06-16から1日間の記事一覧

 侵害を予期した上で対抗行為に及んだ場合における刑法36条の急迫性の判断方法

平成29年4月26日最高裁判所第二小法廷決定 裁判要旨 行為者が侵害を予期した上で対抗行為に及んだ場合,侵害の急迫性の要件については,対抗行為に先行する事情を含めた行為全般の状況に照らして検討すべきであり,事案に応じ,行為者と相手方との従前の関係…

1 国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求に憲法29条3項に基づく損失補償請求を予備的・追加的に併合することが許される場合    2 国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求に憲法29条3項に基づく損失補償請求を控訴審において予備的・追加的に併合する場合の相手方の同意の要否

平成5年7月20日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 一 国家賠償法一条一項の規定に基づく損害賠償請求に憲法二九条三項の規定に基づく損失補償請求を予備的、追加的に併合することが申し立てられた場合において、右予備的請求が、主位的請求と被告を同じくす…

第三者所有地を目的の一部とする賃貸借につき賃借人が賃貸人の負担すべき右第三者所有地の賃料等の額を下回ることを知りながら支払う賃料と借地法一二条二項にいう相当賃料

平成8年7月12日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 第三者所有地及び賃貸人所有地を目的とする賃貸借の賃料増額請求につき当事者間に協議が調わず、賃借人が請求額に満たない額を賃料として支払う場合において、賃借人が自らの支払額が賃貸人において負担す…

逮捕した被疑者を最寄りの警察署に連行した上でその装着品及び所持品について行われた差押え手続が刑訴法二二〇条一項二号による差押えとして適法とされた事例

平成8年1月29日最高裁判所第三小法廷決定 裁判要旨 一 いわゆる内ゲバ事件が発生したとの無線情報を受けて逃走犯人を警戒、検索中の警察官らが、犯行終了の約一時間ないし一時間四〇分後に、犯行場所からいずれも約四キロメートル離れた各地点で、それぞれ被…

取締役会の招集につき一部の取締役に対する通知もれがあつた場合と取締役会の決議の効力

昭和44年12月2日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 株式会社取締役会の開催にあたり、一部の取締役に対する招集通知を欠いた場合は、特段の事情のないかぎり、右招集手続に基づく取締役会の決議は無効であるが、その取締役が出席してもなお決議の結果に影響…