最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-07-08から1日間の記事一覧

公立図書館の職員が図書の廃棄について不公正な取扱いをすることと当該図書の著作者の人格的利益の侵害による国家賠償法上の違法

平成17年7月14日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 公立図書館の職員である公務員が,閲覧に供されている図書の廃棄について,著作者又は著作物に対する独断的な評価や個人的な好みによって不公正な取扱いをすることは,当該図書の著作者の人格的利益を侵害…

共同相続された普通預金債権,通常貯金債権及び定期貯金債権は遺産分割の対象となるか

平成28年12月19日最高裁判所大法廷決定 裁判要旨 共同相続された普通預金債権,通常貯金債権及び定期貯金債権は,いずれも,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく,遺産分割の対象となる。(補足意見及び意見がある。) https://www.co…

動産の購入代金を立替払し立替金債務の担保として当該動産の所有権を留保した者は,第三者の土地上に存在しその土地所有権の行使を妨害している当該動産について,その所有権が担保権の性質を有することを理由として撤去義務や不法行為責任を免れるか

平成21年3月10日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 動産の購入代金を立替払した者が,立替金債務の担保として当該動産の所有権を留保する場合において,買主との契約上,期限の利益喪失による残債務全額の弁済期の到来前は当該動産を占有,使用する権原を有…

国又は公共団体以外の者の被用者が第三者に加えた損害につき国又は公共団体が国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負う場合における使用者の民法715条に基づく損害賠償責任の有無

平成19年1月25日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 1 都道府県による児童福祉法27条1項3号の措置に基づき社会福祉法人の設置運営する児童養護施設に入所した児童を養育監護する施設の長及び職員は,国家賠償法1条1項の適用において都道府県の公権力…

宗教上の信念からいかなる場合にも輸血を受けることは拒否するとの固い意思を有している患者に対して医師がほかに救命手段がない事態に至った場合には輸血するとの方針を採っていることを説明しないで手術を施行して輸血をした場合において右医師の不法行為責任が認められた事例

平成12年2月29日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 医師が、患者が宗教上の信念からいかなる場合にも輸血を受けることは拒否するとの固い意思を有し、輸血を伴わないで肝臓のしゅようを摘出する手術を受けることができるものと期待して入院したことを知って…

株式会社の株主が商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)294条1項に基づき検査役選任の申請をした時点で総株主の議決権の100分の3以上を有していたが新株発行により総株主の議決権の100分の3未満しか有しないものとなった場合における上記申請の適否(消極)

平成18年9月28日最高裁判所第一小法廷決定 裁判要旨 株式会社の株主が商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)294条1項に基づき裁判所に当該会社の検査役選任の申請をした時点で,当該株主が当該会社の総株主の議決権の100分の3以上を有し…