最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-08-05から1日間の記事一覧

勤務割における勤務予定日につき年次休暇の時季指定がされた場合に休暇の利用目的を考慮して勤務割変更の配慮をせずに時季変更権を行使することの許否

昭和62年7月10日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 勤務割における勤務予定日につき年次休暇の時季指定がされた場合であつても、使用者が、通常の配慮をすれば勤務割を変更して代替勤務者を配置することが可能であるときに、休暇の利用目的を考慮して勤務割…

民事執行法九〇条六項にいう執行裁判所に対する配当異議の訴えを提起したことの証明

平成6年12月6日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 民事執行法九〇条六項にいう執行裁判所に対する配当異議の訴えを提起したことの証明は、配当異議の届出をした者が、自らの責任において、法定の期間内に右訴えを提起したことを執行裁判所に対してすること…

 母死亡後非嫡出の子の提起する親子関係存在確認の訴の許否

昭和49年3月29日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 認知の訴によらず母との親子関係を主張できる非嫡出の子は、母が死亡した後でも、検察官を相手方として、同女との間の親子関係の存在確認の訴を提起することができる。 https://www.courts.go.jp/app/file…

株主総会の決議を経ずに役員報酬が支払われたことを理由として当該報酬相当額の賠償を求める株主代表訴訟において被告とされた役員らが同訴訟提起後に当該報酬につき株主総会の決議を経たことを主張することと訴訟上の信義

平成17年2月15日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 1 株主総会の決議を経ずに支払われた役員報酬について事後に株主総会の決議を経た場合には,当該決議の内容等に照らして商法(平成14年法律第44号による改正前のもの)269条及び商法279条1項…

 賃借土地上の数棟の建物のうち一部の建物が譲渡されたため土地賃貸借契約全体が解除された場合とそのほかの建物についての買取請求権の有無

昭和54年5月29日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 賃借土地上の数棟の建物のうち一部の建物の譲渡にともなう借地の一部無断転貸を理由として土地賃貸借契約全体が解除された場合には、そのほかの建物について所有者である借地人は建物買取請求権を有しない…

 いわゆる位置指定道路の通行妨害と妨害排除請求権

平成9年12月18日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 建築基準法四二条一項五号の規定による位置の指定を受け現実に開設されている道路を通行することについて日常生活上不可欠の利益を有する者は、右道路の通行をその敷地の所有者によって妨害され、又は妨害…

 逮捕状の更新が繰り返されている時点における捜査機関又は令状発付裁判官の判断の違法を理由とする国家賠償請求の許否

平成5年1月25日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 逮捕状の更新が繰り返されている時点で、逮捕状の請求、発付における捜査機関又は令状発付裁判官の被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があったとする判断の違法を主張して、国家賠償を請求す…

 幼児が公の営造物を設置管理者の通常予測し得ない異常な方法で使用して生じた事故につき設置管理者が損害賠償責任を負わないとされた事例

平成5年3月30日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 幼児が、テニスの審判台に昇り、その後部から座席部分の背当てを構成している左右の鉄パイプを両手で握つて降りようとしたために転倒した審判台の下敷きになつて死亡した場合において、当該審判台には、本…

抵当権の無効を主張することが信義則に照らして許されないとされた事例

昭和42年4月7日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 甲が、不動産について、共同相続によつて持分しか取得しなかつたにもかかわらず、自己が単独相続をしたとして、その旨の所有権移転登記を経由したうえ乙と右不動産について抵当権設定契約を締結し、その旨…