最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-06-28から1日間の記事一覧

賃借建物の通常の使用に伴い生ずる損耗について賃借人が原状回復義務を負う旨の特約が成立していないとされた事例

平成17年12月16日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 1 賃借建物の通常の使用に伴い生ずる損耗について賃借人が原状回復義務を負うためには,賃借人が補修費用を負担することになる上記損耗の範囲につき,賃貸借契約書自体に具体的に明記されているか,賃貸…

買戻特約付売買契約の形式を採りながら目的不動産の占有の移転を伴わない契約の性質

平成18年2月7日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 買戻特約付売買契約の形式が採られていても,目的不動産の占有の移転を伴わない契約は,特段の事情のない限り,債権担保の目的で締結されたものと推認され,その性質は譲渡担保契約と解するのが相当である…

迅速な裁判の保障条項に反する事態が生じた場合の事件処理の方途

昭和47年12月20日最高裁判所大法廷判決 裁判要旨 一 憲法三七条一項は、単に迅速な裁判を一般的に保障するために必要な立法上および司法行政上の措置をとるべきことを要請するにとどまらず、さらに個々の刑事事件について、現実に右の保障に明らかに反し、審…

企業者が労働者の雇入れにあたりその思想、信条を調査することの可否

昭和48年12月12日最高裁判所大法廷判決 裁判要旨 一、憲法一四条や一九条の規定は、直接私人相互間の関係に適用されるものではない。 二、企業者が特定の思想、信条を有する労働者をそのゆえをもつて雇い入れることを拒んでも、それを当然に違法とすることは…