最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-07-07から1日間の記事一覧

スキルス胃がんにより死亡した患者について胃の内視鏡検査を実施した医師が適切な再検査を行っていれば患者がその死亡の時点においてなお生存していた相当程度の可能性があったとして医師に診療契約上の債務不履行責任があるとされた事例

平成16年1月15日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 スキルス胃がんにより死亡した患者について,胃の内視鏡検査を実施した医師が適切な再検査を行っていれば,スキルス胃がんが発見されてその治療が実際に開始された時より約3か月前の時点でこれを発見する…

 医師が末期がんの患者の家族に病状等を告知しなかったことが診療契約に付随する義務に違反するとされた事例

平成14年9月24日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 患者が末期がんにり患し余命が限られていると診断したが患者本人にはその旨を告知すべきでないと判断した医師及び同患者の担当を引き継いだ医師らが,患者の家族に対して病状等を告知しなかったことは,容…

乳がんの手術に当たり当時医療水準として未確立であった乳房温存療法について医師の知る範囲で説明すべき診療契約上の義務があるとされた事例

平成13年11月27日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 乳がんの手術に当たり,当時医療水準として確立していた胸筋温存乳房切除術を採用した医師が,未確立であった乳房温存療法を実施している医療機関も少なくなく,相当数の実施例があって,乳房温存療法を…

相続人YがAの遺産について相続分を有することを前提とする前訴判決が他の相続人Xとの間で確定し,また,XがYに対してAのXに対する債務をYが法定相続分の割合により相続したと主張してその支払を求める訴えを提起していた場合において,Xが自己に遺産全部を相続させる旨のAの遺言の有効確認をYに対して求める訴えを提起することが信義則に反するとはいえないとされた事例

令和3年4月16日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 Aの相続人Yが他の相続人Xに対してAが所有していた不動産についてのXに対する所有権移転登記の抹消登記手続等を求めて提起した前訴において,YがAの遺産について相続分を有することを前提として上記…

相続財産分与の審判前に特別縁故者に当たると主張する者が提起した遺言無効確認の訴えと訴えの利益の有無

平成6年10月13日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 民法九五八条の三第一項の規定による相続財産の分与の審判前に特別縁故者に当たると主張する者が提起した遺言無効確認の訴えは、訴えの利益を欠く。 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/696/06…

甲会社が同社のすべての発行済み株式を有する乙会社の株式の売買により損失を被った場合と乙会社に生じる損害

平成5年9月9日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 一 甲会社が同社のすべての発行済み株式を有する乙会社の株式を取得することは、商法(昭和五六年法律第七四号による改正前のもの)二一〇条にいう自己株式の取得に当たる。二 甲会社が同社のすべての発行済…