最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-07-21から1日間の記事一覧

第1次上告審判決 =最高裁平成19年7月6日第二小法廷判決にいう「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」の意義

平成23年7月21日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 最高裁平成19年7月6日第二小法廷判決にいう「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」とは,居住者等の生命,身体又は財産を危険にさらすような瑕疵をいい,建物の瑕疵が,居住者等の生命,身体又は…

 使用者が労働者に対し個別的同意なしにいわゆる在籍出向を命ずることができるとされた事例

平成15年4月18日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 出向命令の内容が,使用者が一定の業務を協力会社に業務委託することに伴い,委託される業務に従事していた労働者に対していわゆる在籍出向を命ずるものであって,就業規則及び労働協約には業務上の必要に…

抵当権の実行に基づく土地の買受人が当該土地の短期賃貸借の賃借人に対してした将来の明渡しを求める訴えが適法とされた事例

平成3年9月13日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 土地の短期賃貸借契約の締結が執行妨害の意図を含むものであって、その期間満了に当たって、右賃貸借の賃借人が種々の妨害工作をしないとの保障もないなど判示の事実関係の下においては、抵当権の実行に基…

任意同行を求めるため被疑者を職務質問の現場に長時間違法に留め置いたとしてもその後の強制採尿手続により得られた尿の鑑定書の証拠能力は否定されないとされた事例

平成6年9月16日最高裁判所第三小法廷決定 裁判要旨 一 身柄を拘束されていない被疑者を採尿場所へ任意に同行することが事実上不可能であると認められる場合には、いわゆる強制採尿令状の効力として、採尿に適する最寄りの場所まで被疑者を連行することができ…

代表取締役の職務執行停止及び職務代行者選任の仮処分がされた場合にその本案訴訟において会社を代表すべき者

昭和59年9月28日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 株主総会における取締役選任決議の無効確認請求訴訟を本案とする代表取締役の職務執行停止及び職務代行者選任の仮処分がされた場合に、本案訴訟において会社を代表すべき者は、職務の執行を停止された代表…

離婚に伴う慰謝料や財産分与を支払う旨の合意と詐害行為取消権

平成12年3月9日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 一 離婚に伴う財産分与として金銭の給付をする旨の合意は、民法七六八条三項の規定の趣旨に反してその額が不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情が…