最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-04-18から1日間の記事一覧

刑法第二三〇条ノ二にいう「真実ナルコトノ証明アリタルトキ」に当らず、名誉毀損罪の成立する事例

昭和34年5月7日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 一 Xが、確証もないのに、YにおいてX方庭先の燻炭囲の菰に放火したものと思い込み、X方でYの弟Aおよび火事見舞に来た村会議員Bに対し、またY方でその妻C、長女Dおよび近所のE、F、G等に対し、…

 補助公務員による手続違反の公文書作成につき公文書偽造罪の成立が否定された事例

昭和51年5月6日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 市長の代決者である課長を補助し、一定の手続に従つて印鑑証明書の作成にあたつていた補助公務員が、右手続の要求する申請書の提出と手数料の納付をせずに、自己の用に供するため印鑑証明書を作成した行為…

地上建物に抵当権を設定した土地賃借人は抵当建物の競落人に対し地主に代位して当該土地の明渡を請求できるか。

昭和40年5月4日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 一 土地賃借人が該土地上に所有する建物について抵当権を設定した場合には、原則として、右抵当権の効力は当該土地の賃借権に及び、右建物の競落人と賃借人との関係においては、右建物の所有権とともに土地…

ミランダ警告は日本の判例法になっているか?

昭和28年4月14日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 一 第一回供述調書作成八日後に同一検事が更に被疑者を取り調べる場合には、改めて供述拒否権を告知しなくても刑訴一九八条二項に反しない。二 供述拒否権を告知しないで取り調べても憲法三八条一項に反す…

道路交通取締法施行令が事故の内容の報告義務を定めた部分の合憲性

昭和37年5月2日最高裁判所大法廷判決 裁判要旨 一 道路交通取締法施行令第六七条第二項にいう「事故の内容」とは、その発生した日時、場所、死傷者の数及び負傷の程度並に物の損壊及びその程度等交通事故の態様に関する事項を指すものと解すべきである。二 …

 婚姻関係が破綻して父母が別居状態にある場合に子と同居していない親と子の面接交渉について家庭裁判所が相当な処分を命ずることの可否

平成12年5月1日最高裁判所第一小法廷決定 裁判要旨 婚姻関係が破綻して父母が別居状態にある場合に、子と同居していない親と子の面接交渉につき父母の間で協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、民法七六六条を類推適用し…

宅配便の荷受人が運送会社に対して運送中の荷物の紛失を理由として運送契約上の責任限度額を超える損害の賠償を請求することが信義則に反し許されないとされた事例

平成10年4月30日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 荷受人甲が、宅配便を利用して宝石類を送付することができないことを知りながら、荷送人乙が運送会社丙の宅配便を利用してダイヤモンド等を送付することを容認していたなど判示の事実関係の下においては、…

相続税の課税価格に算入される不動産の価額を財産評価基本通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によるものとすることが租税法上の一般原則としての平等原則に違反しないとされた事例

令和4年4月19日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 1 相続税の課税価格に算入される財産の価額について、財産評価基本通達の定める方法による画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するというべき事情がある場合には、当該財産の価額を上記通…