最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-05-05から1日間の記事一覧

音楽教室の運営者と演奏技術等の教授に関する契約を締結した者(生徒)のレッスンにおける演奏に関し上記運営者が音楽著作物の利用主体であるということはできないとされた事例

令和4年10月24日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 音楽教室の運営者と演奏技術等の教授に関する契約を締結した者(生徒)が、上記契約に基づき、上記運営者に対して受講料を支払い、演奏技術等の教授のためのレッスンにおいて教師の指示・指導の下で著作権…

個人情報の漏えいを理由とする損害賠償請求訴訟における損害に関する原審の判断に審理不尽の違法があるとされた事例

平成29年10月23日最高裁判所第二小法廷判決 判示事項 個人情報の漏えいを理由とする損害賠償請求訴訟における損害に関する原審の判断に審理不尽の違法があるとされた事例 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87154 https://www.courts.go.jp…

特許権の存続期間の延長登録の理由となる薬事法所定の製造等の承認を受けることが必要であるために「特許発明の実施をすることができなかった期間」

平成11年10月22日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 特許権の存続期間の延長登録の理由となる処分である薬事法所定の製造等の承認を受けることが必要であるために「特許発明の実施をすることができなかった期間」は、右承認を受けるのに必要な試験を開始し…

いわゆるサブリース契約の当事者が借地借家法32条1項に基づく賃料減額請求をした場合にその請求の当否及び相当賃料額を判断するために考慮すべき事情

平成15年10月21日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 1 不動産賃貸業等を営む甲が,乙が建築した建物で転貸事業を行うため,乙との間であらかじめ賃料額,その改定等についての協議を調え,その結果に基づき,乙からその建物を一括して賃料自動増額特約等の…

株式の譲渡につき名義書換が未了の場合会社はその譲渡を認めることができるか。 株主総会決議取消の訴と裁判所の裁量権。

昭和30年10月20日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 一 商法旧第二〇六条(昭和二五年法律第一六七号による改正前のもの)の施行当時、記名株式の譲渡があつたにかかわらず株主名簿の名義書換が会社の都合でおくれていても、会社が右譲渡を認め譲受人を株主…

共同相続人間においてされた無償による相続分の譲渡と民法903条1項に規定する「贈与」

平成30年10月19日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 共同相続人間においてされた無償による相続分の譲渡は,譲渡に係る相続分に含まれる積極財産及び消極財産の価額等を考慮して算定した当該相続分に財産的価値があるとはいえない場合を除き,上記譲渡をし…

弁護士法23条の2第2項に基づく照会に対する報告を拒絶する行為が,同照会をした弁護士会の法律上保護される利益を侵害するものとして当該弁護士会に対する不法行為を構成することはない。

平成28年10月18日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 弁護士法23条の2第2項に基づく照会に対する報告を拒絶する行為が,同照会をした弁護士会の法律上保護される利益を侵害するものとして当該弁護士会に対する不法行為を構成することはない。(補足意見…

厚生年金保険法(昭和60年法律第34号による改正前のもの)47条に基づく障害年金の支分権の消滅時効の起算点

平成29年10月17日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 厚生年金保険法(昭和60年法律第34号による改正前のもの)47条に基づく障害年金の支分権(支払期月ごとに支払うものとされる保険給付の支給を受ける権利)の消滅時効は,当該障害年金に係る裁定を…

有罪認定に必要とされる立証の程度としての「合理的な疑いを差し挟む余地がない」の意義は,直接証拠によって事実認定をすべき場合と情況証拠によって事実認定をすべき場合とで異なるか

平成19年10月16日最高裁判所第一小法廷決定 裁判要旨 1 有罪認定に必要とされる立証の程度としての「合理的な疑いを差し挟む余地がない」というのは,反対事実が存在する疑いを全く残さない場合をいうものではなく,抽象的な可能性としては反対事実が存在す…