最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-06-20から1日間の記事一覧

 賃料増額請求権の行使と一定期間経過の要否

平成3年11月29日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 借家法七条一項の規定に基づく賃料増額請求権を行使するには、現行の賃料が定められた時から一定の期間を経過していることを要しない。 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/691/062691_hanrei.…

訴因の特定

昭和37年11月28日最高裁判所大法廷判決 裁判要旨 一 出入国管理令第六〇条は、憲法第二二条第二項に違反しない。二 密出国の日時を「昭和二七年四月頃より同三三年六月下旬まで」、その場所を「本邦より本邦外の地域たる中国に」と各表示し、その方法につき…

構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の対抗要件と構成部分の変動した後の集合物に対する効力

昭和62年11月10日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 一 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の設定者がその構成部分である動産の占有を取得したときは譲渡担保権者が占有改定の方法によつて占有権を取得する旨の合意があり、譲渡担保権…

同一の敷地にあって一つのリゾートホテルを構成している複数の建物の固定資産課税台帳の登録価格についてされた審査申出の棄却決定の取消しを求める各請求が互いに行政事件訴訟法13条6号所定の関連請求に当たるとされた事例

平成17年3月29日最高裁判所第三小法廷決定 裁判要旨 同一の敷地にあって一つのリゾートホテルを構成している同一人所有の複数の建物について,固定資産課税台帳に登録された同一年度の価格につき需給事情による減点補正がされていないのは違法であるとしてさ…

国会議員が国会の質疑等の中でした発言と国家賠償責任

平成9年9月9日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 国会議員が国会の質疑、演説、討論等の中でした個別の国民の名誉又は信用を低下させる発言につき、国家賠償法一条一項の規定にいう違法な行為があったものとして国の損害賠償責任が肯定されるためには、当該…

特許発明または実用新案の技術的範囲についての判定は行政不服審査の対象となるか

昭和43年4月18日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 一、特許発明または実用新案の技術的範囲についての判定は、特許庁のたんなる意見の表明であつて、鑑定的性質を有するにとどまる。二、右判定は行政不服審査の対象となりえない。 https://www.courts.go.j…

 代表取締役の職務執行停止及び職務代行者選任の仮処分がされた場合にその本案訴訟において会社を代表すべき者

昭和59年9月28日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 株主総会における取締役選任決議の無効確認請求訴訟を本案とする代表取締役の職務執行停止及び職務代行者選任の仮処分がされた場合に、本案訴訟において会社を代表すべき者は、職務の執行を停止された代表…

 抵当権設定登記後に賃借権の時効取得に必要な期間不動産を用益した者が賃借権の時効取得を当該不動産の競売又は公売による買受人に対抗することの可否

平成23年1月21日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 不動産につき賃借権を有する者がその対抗要件を具備しない間に,当該不動産に抵当権が設定されてその旨の登記がされた場合,上記の者は,上記登記後,賃借権の時効取得に必要とされる期間,当該不動産を継…

自動車の買主が,当該自動車が車台の接合等により複数の車台番号を有することが判明したとして,錯誤を理由に売買代金の返還を求めたのに対し,売主が移転登録手続との同時履行を主張することが信義則上許されないとされた事例

平成21年7月17日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 Xが,Yから購入して転売した自動車につき,Yから転売先に直接移転登録がされた後,車台の接合等により複数の車台番号を有するものであったことが判明したとして,Yに対し錯誤による売買契約の無効を理…