最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-08-15から1日間の記事一覧

 一般旅券発給拒否処分が理由付記の不備のため違法とされた事例

昭和60年1月22日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 一般旅券発給拒否処分の通知書に、発給拒否の理由として、「旅券法一三条一項五号に該当する。」と記載されているだけで、同号適用の基礎となつた事実関係が具体的に示されていない場合には、理由付記とし…

 公正証書の内容となる法律行為の法令違反等に関する公証人の調査義務

平成9年9月4日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 公証人は、法律行為についての公正証書を作成するに当たり、聴取した陳述により知り得た事実など自ら実際に経験した事実及び当該嘱託と関連する過去の職務執行の過程において実際に経験した事実を資料として…

起訴状謄本の不送達と公訴時効停止の効力

昭和55年5月12日最高裁判所第二小法廷決定 裁判要旨 刑訴法二五四条一項の規定は、起訴状の謄本が法定の期間内に被告人に送達されなかつたため決定で公訴が棄却される場合にも適用があり、公訴の提起により進行を停止していた公訴時効は、右公訴棄却決定の確…

仮差押された不動産に対し本差押がなされるまでの間に右不動産の所有権が移転した場合と配当要求の効力。

昭和39年9月29日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 債権者が債務者所有の不動産に対し仮差押執行をした後、債務者が右不動産の所有権を第三者に譲渡し、その登記を経由した場合において、右仮差押に基づく本差押がなされたときでも、右仮差押の効力の利益を…