最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-05-20から1日間の記事一覧

特定の財産がいわゆる特別受益財産であることの確認を求める訴えの適否

平成7年3月7日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 特定の財産がいわゆる特別受益財産であることの確認を求める訴えは、確認の利益を欠くものとして不適法である。 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/494/052494_hanrei.pdf 上告人の本件訴えは、…

共同相続人のうち自己の相続分の全部を譲渡した者は,遺産確認の訴えの当事者適格を有しない。

平成26年2月14日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 共同相続人のうち自己の相続分の全部を譲渡した者は,遺産確認の訴えの当事者適格を有しない。 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/947/083947_hanrei.pdf 1 本件は,亡Aの共同相続人(代襲…

被用者が使用者の事業の執行について第三者に加えた損害を賠償した場合における被用者の使用者に対する求償の可否

令和2年2月28日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 被用者が使用者の事業の執行について第三者に損害を加え,その損害を賠償した場合には,被用者は,使用者の事業の性格,規模,施設の状況,被用者の業務の内容,労働条件,勤務態度,加害行為の態様,加害…

Xの開発,製造したゲーム機を順次XからY,YからAに販売する旨の契約が締結に至らなかった場合においてYがXに対して契約準備段階における信義則上の注意義務違反を理由とする損害賠償責任を負うとされた事例

平成19年2月27日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 XがAの意向を受けて開発,製造したゲーム機を順次XからY,YからAに継続的に販売する旨の契約が,締結の直前にAが突然ゲーム機の改良要求をしたことによって締結に至らなかった場合において,Yが,…

通行地役権者が承役地の担保不動産競売による買受人に対し地役権設定登記がなくとも通行地役権を主張することができる場合

平成25年2月26日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 通行地役権の承役地が担保不動産競売により売却された場合において,最先順位の抵当権の設定時に,既に設定されている通行地役権に係る承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されているこ…

賃借人の債務不履行による賃貸借の解除と賃貸人の承諾のある転貸借の帰すう

平成9年2月25日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 賃貸借が賃借人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合、賃貸人の承諾のある転貸借は、原則として、賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した時に、転貸人の転借人に対する債務の履行不能に…

労働契約上の安全配慮義務違反による損害と弁護士費用

平成24年2月24日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 労働者が,使用者の安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償を請求するため訴えを提起することを余儀なくされ,訴訟追行を弁護士に委任した場合には,その弁護士費用は,事案の難易,請求…

抵当権の被担保債権が免責許可の決定の効力を受ける場合における当該抵当権自体の消滅時効

平成30年2月23日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 抵当権の被担保債権が免責許可の決定の効力を受ける場合には,民法396条は適用されず,債務者及び抵当権設定者に対する関係においても,当該抵当権自体が,同法167条2項所定の20年の消滅時効にか…

「相続させる」旨の遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合における当該遺言の効力

平成23年2月22日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 遺産を特定の推定相続人に単独で相続させる旨の遺産分割の方法を指定する「相続させる」旨の遺言は,当該遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には,当該「…

取締役会設置会社である非公開会社における,取締役会の決議によるほか株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができる旨の定款の定めの効力

平成29年2月21日最高裁判所第三小法廷決定 裁判要旨 取締役会設置会社である非公開会社における,取締役会の決議によるほか株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができる旨の定款の定めは有効である。 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei…

債権譲渡の対価としてされた金銭の交付が貸金業法2条1項と出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律5条3項にいう「貸付け」に当たるとされた事例

令和5年2月20日最高裁判所第三小法廷決定 裁判要旨 債権譲渡の対象が労働者の使用者に対する賃金債権であり、譲受人は、自ら使用者に対して支払を求めることは許されず、実際には債権を買い戻させることなどにより労働者から資金を回収するほかなく、労働者…

死亡後間もないえい児の死体を隠匿した行為が刑法190条にいう「遺棄」に当たらないとされた事例

令和5年3月24日最高裁判所第二小法廷判決 判示事項 1 刑法190条にいう「遺棄」の意義2 死亡後間もないえい児の死体を隠匿した行為が刑法190条にいう「遺棄」に当たらないとされた事例 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/943/091943_hanr…