最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-06-08から1日間の記事一覧

 株式会社の従業員がいわゆる持株会から譲り受けた株式を個人的理由により売却する必要が生じたときは持株会が額面額でこれを買い戻す旨の当該従業員と持株会との間の合意が有効とされた事例

平成21年2月17日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 いわゆる持株会が採用した株式譲渡ルールに従い,株式会社の従業員が持株会から譲り受けた株式を個人的理由により売却する必要が生じたときは持株会が額面額でこれを買い戻す旨の当該従業員と持株会との間…

いわゆる必要的弁護事件の公判期日について刑訴法二八九条一項の適用がないとされた事例

平成7年3月27日最高裁判所第二小法廷決定 裁判要旨 いわゆる必要的弁護事件において、裁判所が公判期日への弁護人出頭確保のための方策を尽くしたにもかかわらず、被告人において弁護人在廷の公判審理ができない事態を生じさせるなど判示の事実関係の下にお…

損害賠償額を過少に算定した違法があるとしてされた上告の上告理由書提出期間経過後にこれを過大に算定した違法があるとしてされた附帯上告の適否

平成9年1月28日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 一 一時的に我が国に滞在し将来出国が予定される外国人の事故による逸失利益を算定するに当たっては、予測される我が国での就労可能期間内は我が国での収入等を基礎とし、その後は想定される出国先での収入…

自宅から隣家の被害者に向けて連日連夜ラジオの音声等を大音量で鳴らし続け被害者に慢性頭痛症等を生じさせた行為が傷害罪の実行行為に当たるとされた事例

平成17年3月29日最高裁判所第二小法廷決定 裁判要旨 自宅から隣家の被害者に向けて,精神的ストレスによる障害を生じさせるかもしれないことを認識しながら,連日連夜,ラジオの音声及び目覚まし時計のアラーム音を大音量で鳴らし続けるなどして,被害者に精…

国境を越えて日本への連れ去りをされた子の釈放を求める人身保護請求において,拘束者が国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づく子の返還を命ずる終局決定に従わないまま子を監護することにより拘束している場合における,拘束の顕著な違法性

平成30年3月15日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 1 拘束者(母親)により国境を越えて日本への連れ去りをされた被拘束者(子)が,現在,13歳で意思能力を有し,拘束者の下にとどまる意思を表明しているとしても,次の(1),(2)など判示の事情の下にお…

いわゆる危急時遺言に当たり民法九七六条一項にいう遺言の趣旨の口授があったとされた事例

平成11年9月14日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 いわゆる危急時遺言に当たり、立ち会った証人の一人があらかじめ作成された草案を一項目ずつ読み上げ、遺言者が、その都度うなずきながら「はい」などと返答し、最後に右証人から念を押され了承する旨を述…

車両に使用者らの承諾なく秘かにGPS端末を取り付けて位置情報を検索し把握する刑事手続上の捜査であるGPS捜査は令状がなければ行うことができない強制の処分か

平成29年3月15日最高裁判所大法廷判決 裁判要旨 車両に使用者らの承諾なく秘かにGPS端末を取り付けて位置情報を検索し把握する刑事手続上の捜査であるGPS捜査は,個人のプライバシーの侵害を可能とする機器をその所持品に秘かに装着することによって,…

借地借家法38条2項所定の書面が賃借人の認識にかかわらず契約書とは別個独立の書面であることの要否

平成24年9月13日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 借地借家法38条2項所定の書面は,賃借人が,その契約に係る賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により終了すると認識しているか否かにかかわらず,契約書とは別個独立の書面であることを要する。 htt…

禁治産者の後見人がその就職前にした無権代理による訴えの提起及び弁護士に対する訴訟委任の行為の効力を再審の訴えにおいて否定することが信義則に反して許されないとはいえないとされた事例

平成7年11月9日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 甲が禁治産者乙の後見人に就職する前に乙のために無権限で訴えを提起した上弁護士に対する訴訟委任をし、これに基づいて判決がされた場合には、甲が乙の姉であって後見人に就職する前から事実上後見人の立…

多数の周辺住民が提起した林地開発行為許可処分取消訴訟における控訴提起の手数料額の算定

平成12年10月13日最高裁判所第二小法廷決定 裁判要旨 森林法一〇条の二に基づく林地開発行為の許可処分につき、許可区域周辺に居住する多数の原告が、右開発行為により、同区域周辺の水質の悪化、水量の変化、大気汚染、その他の環境悪化を生じ、原告らの水…