最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-07-06から1日間の記事一覧

被疑者の依頼により弁護人となろうとする者から被疑者の逮捕直後に初回の接見の申出を受けた捜査機関が接見の日時を翌日に指定した措置が国家賠償法一条一項にいう違法な行為に当たるとされた事例

平成12年6月13日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 一 弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者から被疑者の逮捕直後に初回の接見の申出を受けた捜査機関は、即時又は近接した時点での接見を認めても接見の時間を指定すれば捜査…

個別信用購入あっせんにおいて,購入者が名義上の購入者となることを承諾してあっせん業者との間で立替払契約を締結した場合に,販売業者が上記購入者に対してした告知の内容が,割賦販売法35条の3の13第1項6号にいう「購入者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの」に当たるとされた事例

平成29年2月21日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 個別信用購入あっせんにおいて,購入者が名義上の購入者となることを承諾してあっせん業者との間で立替払契約を締結した場合に,それが販売業者の依頼に基づくものであり,上記販売業者が,上記依頼の際,…

交通事故に起因する後遺障害による逸失利益につき定期金による賠償を命ずるに当たり被害者の死亡時を定期金による賠償の終期とすることの要否

令和2年7月9日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 1 交通事故の被害者が後遺障害による逸失利益について定期金による賠償を求めている場合において,不法行為に基づく損害賠償制度の目的及び理念に照らして相当と認められるときは,同逸失利益は,定期金に…

金の商品先物取引の委託契約において将来の金の価格は消費者契約法4条2項本文にいう「重要事項」に当たるか

平成22年3月30日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 金の商品先物取引の委託契約において将来の金の価格は消費者契約法4条2項本文にいう「重要事項」に当たらない。 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/043/080043_hanrei.pdf 1 本件は, ① 商…

行政手続法12条1項により定められ公にされている処分基準に先行の処分を受けたことを理由として後行の処分に係る量定を加重する旨の定めがある場合における先行の処分の取消しを求める訴えの利益

平成27年3月3日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 行政手続法12条1項により定められ公にされている処分基準において,先行の処分を受けたことを理由として後行の処分に係る量定を加重する旨の不利益な取扱いの定めがある場合には,上記先行の処分を受け…

勾留に関する処分を行う裁判官が職権で移監命令を発することの可否   移監命令の職権発動を促す趣旨でされた勾留取消し請求を却下した裁判に対する不服申立ての許否

平成7年4月12日最高裁判所第三小法廷決定 裁判要旨 一 勾留に関する処分を行う裁判官は職権により被疑者又は被告人の勾留場所を変更する旨の移監命令を発することができる。二 裁判官に移監命令の職権発動を促す趣旨でされた勾留取消し請求を却下した裁判に…

留置権者が留置物の使用等の承諾を受けた後に留置物の所有権を取得した者による留置物の使用等を理由とする留置権の消滅請求の可否

平成9年7月3日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 留置物の所有権が譲渡等により第三者に移転した場合において、右につき対抗要件を具備するよりも前に留置権者が留置物の使用又は賃貸についての承諾を受けていたときは、新所有者は、留置権者に対し、右使用…

 貸金の支払を求める訴訟において,前訴でその貸金に係る消費貸借契約の成立を主張していた被告が同契約の成立を否認することは信義則に反するとの原告の主張を採用しなかった原審の判断に違法があるとされた事例

令和元年7月5日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 XがAからYに対する貸金返還請求権を譲り受けたとしてYに対し貸金の支払を求める訴訟において,YがAから金員を受領したことを認めたが同金員に係る金銭消費貸借契約の成立を否認した場合において,次…

農地法4条1項違反の罪と同法5条1項違反の罪の双方が成立するとされた事例

平成14年4月5日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 1 農地法4条1項,5条1項,92条は,憲法29条に違反しない。2 土石の捨場として使用されていた農地を売却した者が,その後買受人によって行われた同土地の非農地への造成,転用を完成させる行為に…