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上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

勾留に関する処分を行う裁判官が職権で移監命令を発することの可否   移監命令の職権発動を促す趣旨でされた勾留取消し請求を却下した裁判に対する不服申立ての許否

 平成7年4月12日最高裁判所第三小法廷決定

裁判要旨    
 一 勾留に関する処分を行う裁判官は職権により被疑者又は被告人の勾留場所を変更する旨の移監命令を発することができる。
二 裁判官に移監命令の職権発動を促す趣旨でされた勾留取消し請求を却下した裁判に対する不服申立ては許されない。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/173/050173_hanrei.pdf

 

勾留に関する処分を行う裁判官は職権により被疑者又は被告人の勾留場所を変更する旨の移監命令を発することができるものと解すべきところ、本件勾留取消し請求は、その請求の趣旨に照らし、実質は裁判官に右移監命令の職権発動を促すものであることが明らかであり、右請求を却下した原原裁判は右職権を発動しない趣旨でされたものと解されるから、本件勾留取消し請求却下の裁判に対する不服申立ては許されないというべきである。

したがって、本件準抗告の申立ては不適法であり、これが適法であることを前提とする本件抗告の申立ても不適法である(なお、第一回公判期日前にした勾留取消し請求却下の裁判に対する準抗告申立てについて、第一回公判期日後にされたことのみを理由として不適法とした原判断は、是認することができない)。