最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-07-16から1日間の記事一覧

土地を時効取得したと主張する者が,当該土地は所有者が不明であるから国庫に帰属していたとして,国に対し当該土地の所有権を有することの確認を求める訴えにつき,確認の利益を欠くとされた事例

平成23年6月3日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 表題部所有者の登記も所有権の登記もない土地を時効取得したと主張する者が,当該土地は所有者が不明であるから国庫に帰属していたとして,国に対し当該土地の所有権を有することの確認を求める訴えは,次…

普通地方公共団体の議会が長による民法108条に違反する契約締結行為を追認した場合における当該行為の法律効果の帰属

平成16年7月13日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 1 普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表して行う契約の締結には,民法108条が類推適用される。 2 普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表するとともに相手方を代理し又は代…

責任を弁識する能力のない未成年者が,サッカーボールを蹴って他人に損害を加えた場合において,その親権者が民法714条1項の監督義務者としての義務を怠らなかったとされた事例(重要)

平成27年4月9日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 責任を弁識する能力のない未成年者の蹴ったサッカーボールが校庭から道路に転がり出て,これを避けようとした自動二輪車の運転者が転倒して負傷し,その後死亡した場合において,次の(1)~(3)など判示の事…

 戸籍法49条2項1号の規定のうち出生の届出に係る届書に嫡出子又は嫡出でない子の別を記載すべきものと定める部分と憲法14条1項

平成25年9月26日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 戸籍法49条2項1号の規定のうち,出生の届出に係る届書に嫡出子又は嫡出でない子の別を記載すべきものと定める部分は,憲法14条1項に違反しない。(補足意見がある。) https://www.courts.go.jp/ap…

 いわゆる懲罰的損害賠償を命じた外国裁判所の判決について執行判決をすることの可否

平成9年7月11日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 外国裁判所の判決のうち、補償的損害賠償等に加えて、見せしめと制裁のために懲罰的損害賠償としての金員の支払を命じた部分については、執行判決をすることができない。 https://www.courts.go.jp/app/fil…

 遺言執行者による推定相続人の廃除の申立てを却下する審判に対し他の推定相続人である参加人が即時抗告をすることの許否

平成14年7月12日最高裁判所第二小法廷決定 裁判要旨 遺言執行者が推定相続人の廃除を求める審判手続において,廃除を求められていない推定相続人が利害関係人として審判手続に参加した場合に,参加人は廃除の申立てを却下する審判に対して即時抗告をすること…

相続に関する不当な利益を目的としない遺言書の破棄隠匿行為と相続欠格事由

平成9年1月28日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 相続人が相続に関する被相続人の遺言書を破棄又は隠匿した場合において、相続人の右行為が相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったときは、右相続人は、民法八九一条五号所定の相続欠格者に当た…

 「相続させる」旨の遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合における当該遺言の効力

平成23年2月22日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 遺産を特定の推定相続人に単独で相続させる旨の遺産分割の方法を指定する「相続させる」旨の遺言は,当該遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には,当該「…

刑事裁判における国民の司法参加と憲法

平成23年11月16日最高裁判所大法廷判決 裁判要旨 1 憲法は,刑事裁判における国民の司法参加を許容しており,憲法の定める適正な刑事裁判を実現するための諸原則が確保されている限り,その内容を立法政策に委ねている。2 裁判員制度は,憲法31条,32…