最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-06-17から1日間の記事一覧

 警視庁A警察署地域課に勤務する警察官が同庁B警察署刑事課で捜査中の事件に関して告発状を提出していた者から現金の供与を受けた行為につき収賄罪が成立するとされた事例

平成17年3月11日最高裁判所第一小法廷決定 裁判要旨 警視庁A警察署地域課に勤務する警察官が,同庁B警察署刑事課で捜査中の事件に関して,告発状を提出していた者から,告発状の検討,助言,捜査情報の提供,捜査関係者への働き掛けなどの有利かつ便宜な取…

国が、津波による原子力発電所の事故を防ぐために電気事業法40条に基づく規制権限を行使しなかったことを理由として国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負うとはいえないとされた事例(結果回避可能性がないから結果回避義務もないということか?)

令和4年6月17日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 電力会社が設置し運営する原子力発電所の原子炉に係る建屋の敷地に地震に伴う津波が到来し、上記建屋の中に海水が浸入して上記原子炉に係る原子炉施設が電源喪失の事態に陥った結果、上記原子炉施設から放…

A社が事業再編計画の一環としてB社の株式を任意の合意に基づき買い取る場合において,A社の取締役に上記株式の買取価格の決定について善管注意義務違反はないとされた事例

平成22年7月15日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 不動産賃貸あっせんのフランチャイズ事業等を展開するA社が,事業再編計画の一環としてB社を完全子会社とする目的で同社の株式を任意の合意に基づき買い取る場合において,次の(1)〜(3)など判示の事情の…

裁判所の支部を廃止する旨を定めた最高裁判所規則の取消しを求める訴訟と裁判所法三条一項にいう法律上の争訟

平成3年4月19日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 福岡地方裁判所及び福岡家庭裁判所の各甘木支部を廃止する旨を定めた最高裁判所規則について、右支部の管轄区域内に居住する者が、具体的な紛争を離れ、抽象的に右規則の憲法違反を主張してその取消しを求…

一定の地域の代表として環境権に基づき火力発電所の操業の差止め等の訴えを提起した者に原告適格がないとされた事例

昭和60年12月20日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 一定の地域の代表と主張して、環境権に基づき火力発電所の操業の差止め等を請求する訴訟を提起、追行している者は、当該地域の住民からの授権により訴訟追行権を取得するなど任意的訴訟担当の要件を具備…

準起訴手続によつて審判に付された事件において刑訴法二六二条一項に掲げる罪以外の罪で処罰することの可否

昭和49年4月1日最高裁判所第二小法廷決定 裁判要旨 準起訴裁判所が、相当な嫌疑のもとに刑訴法二六二条一項に掲げる罪が成立すると判断し公訴提起すべきものとして審判に付した以上、公判審理の結果それ以外の罪の成立が認められるにすぎないことになつたと…

請負契約に基づく請負代金債権と同契約の目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償債権の一方を本訴請求債権とし他方を反訴請求債権とする本訴及び反訴の係属中における,上記本訴請求債権を自働債権とし上記反訴請求債権を受働債権とする相殺の抗弁の許否

令和2年9月11日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 請負契約に基づく請負代金債権と同契約の目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償債権の一方を本訴請求債権とし,他方を反訴請求債権とする本訴及び反訴が係属中に,本訴原告が,反訴において,上記本訴請求債権…

母がその戸籍に入る子につき適法な出生届を提出していない場合において,特別区の区長が住民である当該子につき上記母の世帯に属する者として住民票の記載をしていないことが違法ではないとされた事例

平成21年4月17日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 1 出生した子につき住民票の記載を求める親からの申出に対し特別区の区長がした上記記載をしない旨の応答は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。2 母がその戸籍に入る子につき適法な出生届を提…

当事者の一方の請求に対して訴え却下又は請求棄却の判決を求めるのみの独立当事者参加の申出の適否

平成26年7月10日最高裁判所第一小法廷決定 裁判要旨 1 株式会社の解散の訴えに係る請求を認容する確定判決の効力を受ける第三者は,上記確定判決に係る訴訟について独立当事者参加の申出をすることによって,上記確定判決に対する再審の訴えの原告適格を有…

少年の被疑事件につき一旦は嫌疑不十分を理由に不起訴処分にするなどしたため家庭裁判所の審判を受ける機会が失われた後に事件を再起してした公訴提起が無効であるとはいえないとされた事例

平成25年6月18日最高裁判所第三小法廷決定 裁判要旨 犯行時16歳の少年の業務上過失傷害被疑事件について,検察官への事件送致までに約2年11か月を要した上,一旦は嫌疑不十分を理由に不起訴処分(家庭裁判所へ送致しない処分)とされたため,被疑者が成…

市議会の議会運営委員会による議員に対する厳重注意処分の決定が違法な公権力の行使に当たるとはいえないとされた事例

平成31年2月14日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 1 普通地方公共団体の議会の議員に対する懲罰その他の措置が当該議員の私法上の権利利益を侵害することを理由とする国家賠償請求の当否を判断するに当たっては,当該措置が議会の内部規律の問題にとどま…

夫婦同居申立事件の審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告

昭和40年6月30日最高裁判所大法廷決定 裁判要旨 一 家事審判法第九条第一項乙類第一号の夫婦の同居その他夫婦間の協力扶助に関する処分の審判についての規定は、憲法第三二条、第八二条に違反しない。二 夫婦の同居義務等を前提とする審判が確定した場合でも…