最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-05-30から1日間の記事一覧

 売主から委託を受けてマンションの専有部分の販売に関する一切の事務を行っていた宅地建物取引業者に専有部分内に設置された防火戸の操作方法等につき買主に対して説明すべき信義則上の義務があるとされた事例

平成17年9月16日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 防火設備の一つとして重要な役割を果たし得る防火戸が室内に設置されたマンションの専有部分の販売に際し,防火戸の電源スイッチが一見してそれとは分かりにくい場所に設置され,それが切られた状態で専有…

 傷害致死被告事件において接見等禁止の裁判に対する準抗告を棄却した原決定に刑訴法81条,426条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例

平成31年3月13日最高裁判所第三小法廷決定 判示事項 傷害致死被告事件において接見等禁止の裁判に対する準抗告を棄却した原決定に刑訴法81条,426条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/525/088525…

情報公開法に基づく行政文書の開示請求に対する不開示決定の取消訴訟において,不開示とされた文書を検証の目的として被告にその提示を命ずることの許否

平成21年1月15日最高裁判所第一小法廷決定 裁判要旨 情報公開法に基づく行政文書の開示請求に対する不開示決定の取消訴訟において,不開示とされた文書を目的とする検証を被告に受忍義務を負わせて行うことは,原告が検証への立会権を放棄するなどしたとして…

捜査機関への申告内容に虚偽が含まれていた事案につき刑法42条1項の自首が成立するとされた事例

平成13年2月9日最高裁判所第三小法廷決定 裁判要旨 けん銃を適合実包と共に携帯して所持し発射した者が,捜査機関に発覚する前に,これらの犯行に及んだことを捜査機関に申告した場合は,その際,使用したけん銃について虚偽の事実を述べるなどしたとしても…

良好な景観の恵沢を享受する利益に対する違法な侵害に当たるといえるために必要な条件

平成18年3月30日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 1 良好な景観に近接する地域内に居住する者が有するその景観の恵沢を享受する利益は,法律上保護に値するものと解するのが相当である。2 ある行為が良好な景観の恵沢を享受する利益に対する違法な侵害に…

 子の血縁上の父であると主張する者が提起した戸籍上の父と子との間の親子関係不存在の確認を求める訴えの係属中に子を第三者の特別養子とする審判が確定した場合につき訴えの利益を否定した原審の判断に違法があるとされた事例

平成10年7月14日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 子の血縁上の父であると主張する甲が戸籍上の父と子との間の親子関係不存在の確認を求める訴えを提起したところ、右訴えの帰すうが定まる前に右事情を知る審判官によって子を第三者の特別養子とする審判が…

「相続させる」趣旨の遺言による不動産の取得と登記

平成14年6月10日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 「相続させる」趣旨の遺言による不動産の権利の取得については,登記なくして第三者に対抗することができる。 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/433/062433_hanrei.pdf 1 原審の認定によれ…

同一の建物に二重の表示登記がされた場合における先行の表示登記の申請人ないしその登記を基礎とする所有権保存登記の名義人の地位に基づく後行の表示登記ないしその登記を基礎とする所有権保存登記の抹消請求の可否

平成3年7月18日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 同一の建物に二重の表示登記がされた場合において、先行の表示登記の申請人ないしその登記を基礎とする所有権保存登記の名義人は、その地位に基づいて、後行の表示登記ないしその登記を基礎とする所有権保…

農業協同組合の監事が組合を代表して理事に対してする訴訟の提起と組合規約中の訴訟の提起に理事会の決議を要する旨の規定の適用の有無

平成9年12月16日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 一 農業協同組合の監事が組合を代表して理事に対する訴訟を提起する場合には、組合規約中の訴訟の提起に理事会の決議を要する旨の規定は適用されない。二 農業協同組合と理事との間の訴訟の係属中に理事が…

 刑法46条2項により刑を科さないとされた公訴事実に係る未決勾留日数の算入

平成18年8月31日最高裁判所第三小法廷決定 裁判要旨 併合罪関係にある数罪を併合審理して刑を言い渡す場合,刑法46条2項により刑を科さないとされた公訴事実に係る未決勾留日数を非勾留事実に係る罪に対する無期懲役刑及び罰金刑にそれぞれ算入することが…

他主占有者の相続人が独自の占有に基づく取得時効の成立を主張する場合における所有の意思の立証責任

平成8年11月12日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 一 他主占有者の相続人が独自の占有に基づく取得時効の成立を主張する場合には、相続人において、その事実的支配が外形的客観的にみて独自の所有の意思に基づくものと解される事情を証明すべきである。 二…

裁判官が公訴棄却の判決をし又はその判決に至る手続に関与したことと再起訴後の審理における刑訴法20条7号本文所定の除斥原因

平成17年8月30日最高裁判所第一小法廷決定 裁判要旨 裁判官が公訴棄却の判決をし,又はその判決に至る手続に関与したことは,その手続において再起訴後の第1審で採用された証拠又はそれと実質的に同一の証拠が取り調べられていても,再起訴後の審理において…

著しく不公正な方法によってされた新株発行の効力

平成6年7月14日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 株式会社を代表する権限のある取締役によって行われた新株の発行は、それが著しく不公正な方法によってされたものであり、かつ、右会社の取締役がその新株を引き受けて現に保有し、右会社が小規模で閉鎖的…