同一の建物に二重の表示登記がされた場合における先行の表示登記の申請人ないしその登記を基礎とする所有権保存登記の名義人の地位に基づく後行の表示登記ないしその登記を基礎とする所有権保存登記の抹消請求の可否
平成3年7月18日最高裁判所第一小法廷判決
裁判要旨
同一の建物に二重の表示登記がされた場合において、先行の表示登記の申請人ないしその登記を基礎とする所有権保存登記の名義人は、その地位に基づいて、後行の表示登記ないしその登記を基礎とする所有権保存登記の抹消を求めることができない。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/635/062635_hanrei.pdf
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人の上告理由について
原審の適法に確定した事実関係の下においては、所論の点に関する原審の判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない(同一の建物に二重の表示登記がされた場合において、先行の表示登記の申請人ないしその登記に基づく所有権保存登記の名義人が、その地位に基づいて、後行の表示登記ないしその登記に基づく所有権保存登記の抹消を求めることはできないと解するのが相当である。)。
論旨は、ひっきょう、原審の認定に沿わないで又は独自の見解に立って原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。