最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-05-29から1日間の記事一覧

公立小学校3年の児童が,朝自習の時間帯に離席して,ロッカーから落ちていたベストのほこりを払おうとしてこれを頭上で振り回したところ,別の児童の右眼に当たり当該児童が負傷した事故につき,教室内にいた担任教諭に児童の安全確保等についての過失がないとされた事例

平成20年4月18日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 公立小学校3年の男子児童が,朝自習の時間帯に,教室後方にあるロッカーから落ちていた自分のベストを拾うため離席し,ほこりを払おうとしてこれを頭上で振り回したところ,ファスナー部分がちょうど席を…

国際捜査共助に基づき中華人民共和国において同国の捜査官によって作成された供述調書が刑訴法321条1項3号の書面に当たるとされた事例

平成23年10月20日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 国際捜査共助に基づき,中華人民共和国において身柄を拘束されていた共犯者を同国の捜査官が取り調べ,その供述を録取した供述調書であって,犯罪事実の証明に欠くことができないものは,同国の捜査機関…

音楽著作権の管理事業者(JASRAC)が放送への利用の許諾につき使用料の徴収方法を定めるなどの行為が,独占禁止法2条5項にいう「排除」の要件である他の事業者の参入を著しく困難にする効果を有するとされた事例

平成27年4月28日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 音楽著作権の管理事業を行う既存の事業者が,その管理する音楽著作物の放送への利用の包括的な許諾につき,ほとんど全ての放送事業者との間で年度ごとの放送事業収入に所定の率を乗じて得られる金額又は所…

 譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲渡した場合における受戻しの許否

平成6年2月22日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲渡した場合には、譲渡担保を設定した債務者は、譲受人がいわゆる背信的悪意者に当たるときであると否とにかかわらず、債務を弁済して目的不動産を受け…

刑事事件の法廷において身体の拘束を受けている状態の被告人の容ぼう,姿態を描いたイラスト画を写真週刊誌に掲載して公表した行為が不法行為法上違法とされた事例

平成17年11月10日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 1 人はみだりに自己の容ぼう,姿態を撮影されないということについて法律上保護されるべき人格的利益を有し,ある者の容ぼう,姿態をその承諾なく撮影することが不法行為法上違法となるかどうかは,被撮…

共同相続人間の相続分の贈与を原因とする農地の持分移転登記の申請を農地法3条1項の許可を証する書面の添付がないことを理由に却下することの可否

平成13年7月10日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 1 共同相続人間においてされた相続分の譲渡に伴って生ずる農地の権利移転については,農地法3条1項の許可を要しない。 2 共同相続人の共有の相続登記がされている農地につき,「相続分の贈与」を原因…

不動産の所有権が,元の所有者から中間者に,次いで中間者から現在の所有者に,順次移転したにもかかわらず,登記名義がなお元の所有者の下に残っている場合において,現在の所有者が元の所有者に対し,元の所有者から現在の所有者に対する真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を請求することは許されるか

平成22年12月16日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 不動産の所有権が,元の所有者から中間者に,次いで中間者から現在の所有者に,順次移転したにもかかわらず,登記名義がなお元の所有者の下に残っている場合において,現在の所有者が元の所有者に対し,…

 ゴルフ場経営を目的とする地上権設定契約及び土地賃貸借契約につき借地借家法11条(地代等増減請求権)の類推適用をする余地はないとされた事例

平成25年1月22日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 地上権設定契約及び土地賃貸借契約において,ゴルフ場経営を目的とすることが定められているにすぎず,当該土地が建物の所有と関連するような態様で使用されていることもうかがわれないという事実関係の下…

市の設置する特定の保育所を廃止する条例の制定行為が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとされた事例

平成21年11月26日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 市の設置する特定の保育所を廃止する条例の制定行為は,当該保育所の利用関係が保護者の選択に基づき保育所及び保育の実施期間を定めて設定されるものであり,現に保育を受けている児童及びその保護者は…