最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-07-28から1日間の記事一覧

 夫と民法772条により嫡出の推定を受ける子との間に生物学上の父子関係が認められないことが科学的証拠により明らかであるなどの事情がある場合における親子関係不存在確認の訴えの許否

平成26年7月17日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 夫と民法772条により嫡出の推定を受ける子との間に生物学上の父子関係が認められないことが科学的証拠により明らかであり,かつ,夫と妻が既に離婚して別居し,子が親権者である妻の下で監護されている…

 痘そうの予防接種による重篤な後遺障害の発生と予防接種実施規則(昭和四五年厚生省令第四四号による改正前の昭和三三年厚生省令第二七号)四条の禁忌者に該当したことの推定

平成3年4月19日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 痘そうの予防接種によって重篤な後遺障害が発生した場合には、予防接種実施規則(昭和四五年厚生省令第四四号による改正前の昭和三三年厚生省令第二七号)四条の禁忌者を識別するために必要とされる予診が…

公判前整理手続で明示された主張に関しその内容を更に具体化する被告人質問等を刑訴法295条1項により制限することはできないとされた事例

平成27年5月25日最高裁判所第二小法廷決定 裁判要旨 「公訴事実記載の日時には犯行場所にはおらず,自宅ないしその付近にいた」旨のアリバイ主張が明示されたが,それ以上に具体的な主張は明示されず,裁判所も釈明を求めなかったなどの本件公判前整理手続の…

鉄道営業法三五条にいう「鉄道地」が刑法一三〇条にいう「人ノ看守スル建造物」にあたるとされた事例

昭和59年12月18日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 一 駅係員の許諾を受けないで駅構内において乗降客らに対しビラ多数を配布して演説等を繰り返したうえ、駅管理者からの退去要求を無視して約二〇分間にわたり駅構内に滞留した被告人らの所為につき、鉄道…

 死因贈与の取消ができないとされた事例

昭和58年1月24日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 土地の登記簿上の所有名義人である甲が、右土地を占有耕作する乙に対してその引渡を求めた訴訟の第一審で敗訴し、その第二審で成立した裁判上の和解において、乙から登記名義どおりの所有権の承認を受ける…

行政手続法12条1項により定められ公にされている処分基準に先行の処分を受けたことを理由として後行の処分に係る量定を加重する旨の定めがある場合における先行の処分の取消しを求める訴えの利益

平成27年3月3日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 行政手続法12条1項により定められ公にされている処分基準において,先行の処分を受けたことを理由として後行の処分に係る量定を加重する旨の不利益な取扱いの定めがある場合には,上記先行の処分を受け…

取締役の第三者に対する責任に関し代表取締役の任務懈怠と第三者の被つた損害との間に相当因果関係がないとされた事例

昭和45年7月16日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 有限会社の代表取締役が、経営の一切を他の取締役に一任しみずから会社の経営に関与しなかつた場合において、会社の取引先が取引に関して損害を被つたとしても、その損害が経営を一任された取締役の悪意ま…

誤った行政庁に宛てて審査請求書を提出することによりされた審査請求に係る不作為の違法確認の訴え及び義務付けの訴えが不適法でありその不備を補正することができないとされた事例

令和3年1月22日最高裁判所第二小法廷判決 判示事項 1 被告の代表者を誤って提起された訴えが不適法でありその不備を補正することができないとされた事例2 誤った行政庁に宛てて審査請求書を提出することによりされた審査請求に係る不作為の違法確認の訴え…