最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-06-07から1日間の記事一覧

放送事業者等から放送番組のための取材を受けた者において,取材担当者の言動等によって当該取材で得られた素材が一定の内容,方法により放送に使用されるものと期待し,信頼したことが,法的保護の対象となるか

平成20年6月12日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 1 放送事業者又は放送事業者が放送番組の制作に協力を依頼した関係業者から放送番組の素材収集のための取材を受けた取材対象者が,取材担当者の言動等によって,当該取材で得られた素材が一定の内容,方…

数人の提起する養子縁組無効の訴えにおいて共同訴訟人の一人が上告受理の申立てをした後にされた他の共同訴訟人による上告受理の申立ての適否

平成23年2月17日最高裁判所第一小法廷決定 裁判要旨 1 数人の提起する養子縁組無効の訴えにおいて,共同訴訟人の一人が上告を提起した後に他の共同訴訟人が提起した上告は,二重上告として不適法である。2 数人の提起する養子縁組無効の訴えにおいて,共同…

逮捕状の更新が繰り返されている時点における捜査機関又は令状発付裁判官の判断の違法を理由とする国家賠償請求の許否

平成5年1月25日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 逮捕状の更新が繰り返されている時点で、逮捕状の請求、発付における捜査機関又は令状発付裁判官の被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があったとする判断の違法を主張して、国家賠償を請求す…

恐喝の手段として監禁が行われた場合であっても,両罪は,牽連犯の関係にはない。併合罪の関係になる。

平成17年4月14日最高裁判所第一小法廷判決 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/078/050078_hanrei.pdf 弁護人の上告趣意は,判例違反の主張である。 そこで検討すると,所論引用の大審院大正15年10月14日判決は,人を恐喝して財物を交付さ…

捜査機関が公道上のごみ集積所に不要物として排出されたごみを領置することの可否

平成20年4月15日最高裁判所第二小法廷決定 裁判要旨 1 捜査機関において被告人が強盗殺人等事件の犯人である疑いを持つ合理的な理由が存在し,かつ,同事件の捜査に関して行われたビデオ撮影が,防犯ビデオに写っていた人物の容ぼう,体型等と被告人の容ぼ…

会社法182条の4第1項に基づき株式の買取請求をした者が同法182条の5第5項に基づく支払を受けた場合における上記の者の同法318条4項にいう「債権者」該当性

令和3年7月5日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 会社法182条の4第1項に基づき株式の買取請求をした者は,同法182条の5第5項に基づく支払を受けた場合であっても,上記株式の価格につき会社との協議が調い又はその決定に係る裁判が確定するまでは…

登記官が不動産登記簿の表題部に所有者を記載する行為と抗告訴訟の対象

平成9年3月11日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 登記官が不動産登記簿の表題部に所有者を記載する行為は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。 (補足意見がある。) https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/048/063048_hanrei.pdf 原審の適法…