最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-07-01から1日間の記事一覧

高速走行抑止システムによる速度測定結果の正確性について検察官に釈明を求めたり追加立証を促すなどすることなく証明が十分でないとした原判決を審理を尽くさず事実を誤認した疑いがあるとして破棄差し戻した事例

平成19年4月23日最高裁判所第一小法廷判決 判示事項 高速走行抑止システムによる速度測定結果の正確性について検察官に釈明を求めたり追加立証を促すなどすることなく証明が十分でないとした原判決を審理を尽くさず事実を誤認した疑いがあるとして破棄差し戻…

労働契約上の安全配慮義務違反による損害と弁護士費用

平成24年2月24日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 労働者が,使用者の安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償を請求するため訴えを提起することを余儀なくされ,訴訟追行を弁護士に委任した場合には,その弁護士費用は,事案の難易,請求…

国家賠償法二条一項による営造物の設置または管理のかしに基づく国および公共団体の損害賠償責任については、過失の存在を必要としない。

昭和45年8月20日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 一、国道に面する山地の上方部分が崩壊し、土砂とともに落下した直径約一メートルの岩石が、たまたま該道路を通行していた貨物自動車の運転助手席の上部にあたり、その衝撃により、助手席に乗つていた者が…

 1同一被害者に対し一定の期間内に反復累行された一連の暴行によって種々の傷害を負わせた事実について,包括一罪とされた事例   2包括一罪を構成する一連の暴行による傷害について,訴因の特定に欠けるところはないとされた事例

平成26年3月17日最高裁判所第一小法廷決定 裁判要旨 1 同一被害者に対し約4か月間又は約1か月間という一定の期間内に反復累行された一連の暴行によって種々の傷害を負わせた事実については,その暴行が,被告人と被害者との一定の人間関係を背景として,…

給付訴訟において不執行の合意が認定された場合の判決主文

平成5年11月11日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 給付訴訟において、給付請求権について不執行の合意がある旨の主張がされ、その事実が認められる場合には、裁判所は、右請求権について強制執行をすることができないことを判決主文において明らかにすべき…

 第三債務者が差押債務者に対する弁済後に差押債権者に対してした更なる弁済は,差押債務者が破産手続開始の決定を受けた場合,破産法162条1項の規定による否認権行使の対象となるか

平成29年12月19日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 債権差押命令の送達を受けた第三債務者が,差押債権につき差押債務者に対して弁済をし,差押債権者に対して更に弁済をした後,差押債務者が破産手続開始の決定を受けた場合,後者の弁済は,破産法162…

極小未熟児が急激に進行する未熟児網膜症により失明した事故につき担当の眼科医が同児に対し他の専門医による診断治療を受けさせる措置をとらなかつたことに過失があるとされた事例

昭和60年3月26日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 昭和五一年二月に在胎三四週体重一二〇〇グラムで出生した極小未熟児が急激に進行する未熟児網膜症により失明した場合において、当該病院には当時未熟児網膜症の治療方法として一般的に認められるに至つて…

請負契約に基づき建築された建物所有権が原始的に注文者に帰属するとされた事例

昭和44年9月12日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 注文者が、請負契約の履行として、請負人に対し、全工事代金の半額以上を棟上げのときまでに支払い、その後も工事の進行に応じ残代金の支払をして来たような場合には、特段の事情のないかぎり、建築された…

遺産である建物の相続開始後の使用について被相続人と相続人との間に使用貸借契約の成立が推認される場合

平成8年12月17日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 共同相続人の一人が相続開始前から被相続人の許諾を得て遺産である建物において被相続人と同居してきたときは、特段の事情のない限り、被相続人と右の相続人との間において、右建物について、相続開始時を…

 譲渡担保の設定が詐害行為にならないとされた事例

昭和44年12月19日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 牛乳小売業者が、継続的に牛乳の卸売を受けて来た仕入先に対し、右取引上の債務を担保するため、所有店舗に根抵当権を設定し代物弁済の予約を結んでいた場合において、代金の支払を遅滞したため、取引を…

何時でも返還する特約のある農地賃貸借と民法第六一七条第二項の適用

昭和38年12月24日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 何時でも貸主の請求に応じ賃貸農地の返還をするなどの定めで農地を耕作させるに至つた場合でも、当時施行の農地調整法第九条第四項により右約定は存しないものとみなされるから、解約申入に民法第六一七…