最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-07-09から1日間の記事一覧

同一の債権について差押通知と確定日付のある譲渡通知との第三債務者への到達の先後関係が不明である場合における差押債権者と債権譲受人との間の優劣

平成5年3月30日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 一 同一の債権について、差押通知と確定日付のある譲渡通知との第三債務者への到達の先後関係が不明である場合、差押債権者と債権譲受人とは、互いに自己が優先的地位にある債権者であると主張することがで…

弁護士法58条1項に基づく懲戒請求が不法行為を構成する場合

平成19年4月24日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 弁護士法58条1項に基づく懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠く場合において,請求者が,そのことを知りながら又は通常人であれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得たのに,あえて懲戒を請…

民訴法197条1項3号所定の「技術又は職業の秘密」の意義

平成12年3月10日最高裁判所第一小法廷決定 裁判要旨 一 証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、右必要性があることを理由として独立に不服の申立てをすることはできない。二 民訴法一九七条一項三号所定の「…

 財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定第2条の実施に伴う大韓民国等の財産権に対する措置に関する法律と憲法14条,29条3項,98条

平成13年11月22日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定第2条の実施に伴う大韓民国等の財産権に対する措置に関する法律は,憲法14条,29条3項,98条に違反すると…

 賃借人が契約当事者を実質的に変更したときは賃貸人は違約金を請求することができるなどの定めのある賃貸借契約において,当該賃借人が吸収分割の後は責任を負わないものとする吸収分割により契約当事者の地位を承継させた場合に,当該賃借人が上記吸収分割がされたことを理由に上記定めに基づく違約金債権に係る債務を負わないと主張することが信義則に反し許されないとされた事例

平成29年12月19日最高裁判所第三小法廷決定 裁判要旨 賃借人Yが契約当事者を実質的に変更したときは賃貸人Xは契約を解除し違約金を請求することができる旨の定めのある建物の賃貸借契約において,Yが吸収分割の後は責任を負わないものとする吸収分割によ…

平成27年3月27日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 1 西宮市営住宅条例(平成9年西宮市条例第44号)46条1項柱書き及び同項6号の規定のうち,入居者が暴力団員であることが判明した場合に市営住宅の明渡しを請求することができる旨を定める部分は,…

損害保険業の事業者団体の構成事業者につき私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律8条の3において準用する同法7条の2第1項所定の「売上額」

平成17年9月13日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 1 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律7条の2第1項所定の「売上額」は,事業者の事業活動から生ずる収益から費用を差し引く前の数値をいう。2 損害保険業の事業者団体の構成事業者である損…

前訴において相手方当事者の不法行為により訴訟手続に関与する機会のないまま判決が確定した場合に右判決に基づく債務の弁済として支払った金員につき損害賠償請求をすることが許されないとされた事例

平成10年9月10日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 一 甲乙間の前訴において,甲が受訴裁判所の裁判所書記官からの照会に対して乙の就業場所が不明である旨の誤った回答をしたことにより,乙に対して訴状等の付郵便送達がされたため,乙が前訴の訴訟手続に…

新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法と憲法31,35条ほか

平成4年7月1日最高裁判所大法廷判決 裁判要旨 1 憲法31条の定める法定手続の保障は、直接には刑事手続に関するものであるが、行政手続については、それが刑事手続ではないとの理由のみで、そのすべてが当然に同条による保障の枠外にあると判断することは…

牽連犯を構成する二罪の中間に別罪の確定裁判が介在する場合と刑法五四条の適用

昭和44年6月18日最高裁判所大法廷判決 裁判要旨 一 牽連犯を構成する手段となる犯罪と結果となる犯罪との中間に別罪の確定裁判が介在する場合においても、なお刑法五四条の適用がある。二 自動車を運転する際に偽造にかかる運転免許証を携帯しているに止まる…

建物の賃貸人が現実に提供された賃料の受領を拒絶した場合とその後における賃料不払を理由とする契約の解除

昭和45年8月20日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 建物の賃貸人が現実に提供された賃料の受領を拒絶したときは、特段の事情がないかぎり、その後において提供されるべき賃料についても、受領拒絶の意思を明確にしたものと解すべきであり、右賃貸人が賃借人…