最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-07-23から1日間の記事一覧

預託金会員制のゴルフクラブが民訴法29条にいう「法人でない社団」に当たるとされた事例

平成14年6月7日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 預託金会員制のゴルフクラブにおいて,多数決の原則が行われ,構成員の変更にかかわらず団体そのものが存続し,規約により代表の方法,総会の運営等が定められていること,同クラブには,固定資産又は基本…

誤ってした併合罪関係にある事実についての訴因変更請求と公訴時効停止の効力

平成18年11月20日最高裁判所第三小法廷決定 裁判要旨 誤って併合罪関係にある事実を追加する内容の訴因変更請求をした場合,検察官が訴因変更請求書を裁判所に提出した時点から,その請求に係る事実について公訴時効の進行が停止する。 https://www.courts.g…

訴訟の目的である金銭債権の数量的な一部に対応する訴え提起の手数料につき訴訟上の救助を付与する決定が確定した場合において,請求が上記数量的な一部に減縮された後の訴えを却下することの許否

平成27年9月18日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 金銭債権の支払を請求する訴えの提起時にされた訴訟上の救助の申立てに対し,当該債権の数量的な一部について勝訴の見込みがないとはいえないことを理由として,その部分に対応する訴え提起の手数料につき…

賭博債権の譲渡を異議なく承諾した債務者が右債権の譲受人に対して賭博契約の公序良俗違反による無効を主張することの可否

平成9年11月11日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 賭博の勝ち負けによって生じた債権が譲渡された場合においては、右債権の債務者が異議をとどめずに右債権譲渡を承諾したときであっても、債務者に信義則に反する行為があるなどの特段の事情のない限り、債…

 再抗弁に対する判断の遺脱が上告理由としての理由不備に当たらないとされた事例

平成11年6月29日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 抗弁をいれながらこれに対する再抗弁を摘示せずその判断を遺脱した原判決の違法は、上告理由としての理由不備に当たらない。しかし、判断の遺脱によって、原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令…

詐害行為取消しによる受益者の取消債権者に対する受領済みの金員相当額の支払債務が履行遅滞となる時期

平成30年12月14日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 詐害行為取消しによる受益者の取消債権者に対する受領済みの金員相当額の支払債務は,履行の請求を受けた時に遅滞に陥る。 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/184/088184_hanrei.pdf 1 本件…

 不動産売買仲介の依頼が合意解除された場合における不動産取引仲介業者の報酬請求権。

昭和39年7月16日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 不動産取引仲介業者に対する不動産売買仲介の依頼が合意解除された後、当事者間の直接取引により右不動産を目的とする売買契約が成立した場合においても、右業者の仲介と当該売買契約成立との間に因果関係…

元請企業につき下請企業の労働者に対する安全配慮義務が認められた事例

平成3年4月11日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 下請企業の労働者が元請企業の作業場で労務の提供をするに当たり、元請企業の管理する設備工具等を用い、事実上元請企業の指揮監督を受けて稼働し、その作業内容も元請企業の従業員とほとんど同じであった…

道路を一般交通の用に供するために管理している地方公共団体が当該道路を構成する敷地について占有権を有する場合

平成18年2月21日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 地方公共団体が,道路を一般交通の用に供するために管理しており,その管理の内容,態様によれば,社会通念上,当該道路が当該地方公共団体の事実的支配に属するものというべき客観的関係にあると認められ…