最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-07-25から1日間の記事一覧

遺産分割協議と詐害行為取消権

平成11年6月11日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 共同相続人の間で成立した遺産分割協議は、詐害行為取消権行使の対象となる。 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/217/052217_hanrei.pdf 一 原審の適法に確定した事実関係の概要は、次のとお…

先取特権者による物上代位権行使の目的となる債権について一般債権者が差押又は仮差押の執行をしたのちの先取特権者による物上代位権の行使

昭和60年7月19日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 一 先取特権者による物上代位権行使の目的となる債権について一般債権者が差押又は仮差押の執行をしたにすぎないときは、そののちに先取特権者が右債権に対し物上代位権を行使することを妨げない。 二 転…

無期契約労働者と有期契約労働者との間で基本給の金額が異なるという労働条件の相違の一部が労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たるとした原審の判断に違法があるとされた事例

令和5年7月20日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 無期契約労働者と有期契約労働者との間で基本給の金額が異なるという労働条件の相違の一部が労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たるとした原…

離婚訴訟における財産分与の裁判と不利益変更禁止の原則

平成2年7月20日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 離婚訴訟において、財産分与を命じた判決に対して控訴の申立てがされた場合、財産分与に関する裁判については、いわゆる不利益変更禁止の原則の適用はない。 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp…

物の引渡請求に対する留置権の抗弁を認容する場合においてその被担保債権の支払義務者が第三者であるときの判決主文

昭和47年11月16日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 一、甲所有の物を買受けた乙が、売買代金を支払わないままこれを丙に譲渡した場合には、甲は、丙からの物の引渡請求に対して、未払代金債権を被担保債権とする留置権の抗弁権を主張することができる。二…

 宣誓無能力者が宣誓のうえした証言の効力。

昭和40年10月21日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 民訴法第二八九条により宣誓をさせることのできない者が宣誓のうえした証言であつても、裁判所は、これを証拠として採用することができる。 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/885/053885_ha…

 店舗の賃借人が賃貸人の修繕義務の不履行により被った営業利益相当の損害について,賃借人が損害を回避又は減少させる措置を執ることができたと解される時期以降に被った損害のすべてが民法416条1項にいう通常生ずべき損害に当たるということはできないとされた事例(重要)

平成21年1月19日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 ビルの店舗部分を賃借してカラオケ店を営業していた賃借人が,同店舗部分に発生した浸水事故に係る賃貸人の修繕義務の不履行により,同店舗部分で営業することができず,営業利益相当の損害を被った場合に…