最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-07-26から1日間の記事一覧

本訴の提起が不法行為に当たることを理由とする反訴について,本訴に係る請求原因事実と相反することとなる本訴原告自らが行った事実を積極的に認定しながら,本訴の提起に係る不法行為の成立を否定した原審の判断に違法があるとされた事例

平成22年7月9日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 本訴の提起が不法行為に当たることを理由とする反訴について,本訴に係る請求原因事実と相反することとなる本訴原告自らが行った事実を積極的に認定しながら,本訴原告において記憶違いや通常人にもあり得…

法律上の原因なく代替性のある物を利得した受益者が利得した物を第三者に売却処分した場合に負う不当利得返還義務の内容

平成19年3月8日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 法律上の原因なく代替性のある物を利得した受益者は,利得した物を第三者に売却処分した場合には,損失者に対し,原則として,売却代金相当額の金員の不当利得返還義務を負う。 https://www.courts.go.jp/a…

監護親に対し非監護親が子と面会交流をすることを許さなければならないと命ずる審判に基づき間接強制決定をすることができるとされた事例

平成25年3月28日最高裁判所第一小法廷決定 裁判要旨 1 監護親に対し非監護親が子と面会交流をすることを許さなければならないと命ずる審判において,面会交流の日時又は頻度,各回の面会交流時間の長さ,子の引渡しの方法等が具体的に定められているなど監…

 仮差押命令により保全される債権の範囲

平成24年2月23日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 仮差押命令は,当該命令に表示された被保全債権と異なる債権についても,これが上記被保全債権と請求の基礎を同一にするものであれば,その実現を保全する効力を有する。 https://www.courts.go.jp/app/fi…

 控訴審における謀議の認定手続に不意打ちの違法があるとされた事例

昭和58年12月13日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 三月一二日から一四日までの謀議への関与を理由にハイジヤツクの共謀共同正犯として起訴された被告人につき、一三日及び一四日の謀議とりわけ一三日夜の第一次謀議への関与を重視してその刑責を肯定した…

 和解調書に建物収去の条項がある場合と建物収去の訴の利益

昭和42年11月30日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 和解調書に建物を収去すべき旨の条項があつても、建物収去のための債務名義としてその内容に疑義があるときは、さらに建物収去の訴を提起する利益がある。 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp…

相続人が相続開始後相続放棄前に相続債権の取立をしてこれを収受領得した場合と単純承認の成否

昭和37年6月21日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 相続人が相続開始後、相続放棄前に相続債権の取立をして、これを収受領得した場合には、民法第九二一条第一号にいわゆる相続財産の一部を処分した場合に該当し、相続の単純承認をしたものとみなされる。 h…

 既に発せられた仮差押命令と同一の被保全債権に基づき異なる目的物に対し更に仮差押命令の申立てをすることの許否

平成15年1月31日最高裁判所第二小法廷決定 裁判要旨 特定の目的物について既に仮差押命令を得た債権者は,これと異なる目的物について更に仮差押えをしなければ,金銭債権の完全な弁済を受けるに足りる強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき,又…

外国裁判所の判決に記載がない利息を付加して執行判決をすることができる場合

平成9年7月11日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 外国裁判所の判決に記載がない利息であっても、当該外国の法制上、判決によって支払を命じられた金員に付随して発生し、執行することができるとされている場合には、これを付加して執行判決をすることがで…