最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-07-31から1日間の記事一覧

別訴において一部請求をしている債権の残部を自働債権とする相殺の抗弁の許否

平成10年6月30日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 一個の債権の一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えを提起している場合において、当該債権の残部を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは、債権の分割行使をすることが訴訟上…

質権が設定されている金銭債権の被転付適格

平成12年4月7日最高裁判所第二小法廷決定 裁判要旨 質権が設定されている金銭債権は,券面額ある債権として被転付適格を有する。 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/039/057039_hanrei.pdf 1 抗告人は、相手方に対する金員の支払を命ずる確定判…

鉄道トンネル内における電力ケーブルの接続工事を施工した業者につきトンネル内での火災発生の予見可能性が認められた事例

平成12年12月20日最高裁判所第二小法廷決定 裁判要旨 鉄道トンネル内における電力ケーブル接続工事に際し、施工資格を有してその工事に当たった者が、ケーブルに特別高圧電流が流れる場合に発生する誘起電流を接地するための接地銅板を接続器に取り付けるこ…

下請負人の被用者の不法行為につき元請負人が民法第七一五条の責任を負うための要件

昭和37年12月14日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 一 元請負人が下請負人に対し工事上の指図をしもしくはその監督のもとに工事を施行させ、その関係が使用者と被用者との関係またはこれと同視しうる場合であつても、下請負人の被用者の不法行為が元請負人…

被相続人から抵当権の設定を受けた相続債権者が相続財産法人に対して抵当権設定登記手続を請求することの可否

平成11年1月21日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 相続債権者は、被相続人から抵当権の設定を受けていても、被相続人の死亡前に仮登記がされていた場合を除き、相続財産法人に対して抵当権設定登記手続を請求することができない。 https://www.courts.go.j…

遺言の証人となることができない者が同席してされた公正証書遺言の効力

平成13年3月27日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 遺言公正証書の作成に当たり当該遺言の証人となることができない者が同席していたとしても,この者によって遺言の内容が左右されたり,遺言者が自己の真意に基づいて遺言をすることを妨げられたりするなど…

 第三者との間で会社の営業の移転等に関する協議を行うことなどの差止めを求める仮処分命令の申立てについて保全の必要性を欠くとされた事例

平成16年8月30日最高裁判所第三小法廷決定 裁判要旨 甲社と乙社らとの間で乙社らグループから甲社グループに対する乙社の営業の移転等から成る事業再編等に関して交わされた基本合意書中に,第三者との間で基本合意の目的と抵触し得る取引等に係る協議を行わ…

 傷害致死の事案につき,懲役10年の求刑を超えて懲役15年に処した第1審判決及びこれを是認した原判決が量刑不当として破棄された事例

平成26年7月24日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 親による幼児に対する傷害致死の事案において,これまでの量刑の傾向から踏み出し,公益の代表者である検察官の懲役10年の求刑を大幅に超える懲役15年という量刑をすることにつき,具体的,説得的な根…

記載内容が事実に合致しないため公正証書が無効とされた事例

平成6年4月5日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 公正証書には、昭和六一年二月一三日に二〇〇〇万円を貸し付けたと記載されているが、実際には、同年二月五日から三月一九日まで(二月一三日を除く。)の間に七回にわたり合計七七八万円余の消費貸借、準消…