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消防署職員の消火活動が不十分なため残り火が再燃して火災が発生した場合と失火ノ責任ニ関スル法律の適用の有無

平成元年3月28日最高裁判所第三小法廷判決

裁判要旨    
消防署職員の消火活動が不十分なため残り火が再燃して火災が発生した場合における公共団体の損害賠償責任については、失火ノ責任ニ関スル法律の適用がある。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/388/062388_hanrei.pdf

 

消防署職員の消火活動が不十分なため残り火が再燃して火災が発生した場合における公共団体の損害賠償責任について失火ノ責任ニ関スル法律の適用があることは、当裁判所の判例最高裁昭和五三年七月一七日第二小法廷判決)とするところであり、いまこれを変更する必要はないというべきである。

けだし、公権力の行使に当たる公務員のうち消防署職員の消火活動上の失火による公共団体の損害賠償責任について同法の適用を排除すべきものとする十分な理由を見いだし難いからである。

そして、原審の適法に確定した事実関係のもとにおいて、第一次出火の消火活動に出動した被上告人の職員である消防署職員らに同法にいう重大な過失があるとはいえないとした原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。

"Summary of Judgement
Regarding the liability for damages of a public body in the event that a fire occurs due to the inadequate firefighting efforts of the fire department personnel, causing the remaining fire to reignite, the law relating to the responsibility for causing a fire is applicable."