最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-06-11から1日間の記事一覧

養親の相続財産全部の包括受遺者が提起する養子縁組の無効の訴えと訴えの利益の有無

平成31年3月5日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 養子縁組の無効の訴えを提起する者は,養親の相続財産全部の包括遺贈を受けたことから直ちに当該訴えにつき法律上の利益を有するとはいえない。 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/460/088460_…

検察官がした押収に関する処分に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件

平成14年12月17日最高裁判所第二小法廷決定 判示事項 被告事件について証拠調べ手続が開始された後に裁判官が発付した捜索差押許可状に基づき検察官が行った差押処分が是認された事例 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/851/057851_hanrei.pdf …

共有に属する株式について会社法106条本文の規定に基づく指定及び通知を欠いたまま権利が行使された場合における同条ただし書の株式会社の同意の効果

平成27年2月19日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 1 共有に属する株式について会社法106条本文の規定に基づく指定及び通知を欠いたまま当該株式についての権利が行使された場合において,当該権利の行使が民法の共有に関する規定に従ったものでないと…

当直の看護師らが抑制具であるミトンを用いて入院中の患者の両上肢をベッドに拘束した行為が,診療契約上の義務に違反せず,不法行為法上違法ともいえないとされた事例

平成22年1月26日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 当直の看護師らが抑制具であるミトン(手先の丸まった長い手袋様のもので緊縛用のひもが付いているもの)を用いて入院中の患者の両上肢をベッドに拘束した行為は,次の(1)〜(3)など判示の事情の下では,上…

労働基準監督署長が労働者災害補償保険法(平成11年法律第160号による改正前のもの)23条に基づいて行う労災就学援護費の支給に関する決定と抗告訴訟の対象

平成15年9月4日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 労働基準監督署長が労働者災害補償保険法(平成11年法律第160号による改正前のもの)23条に基づいて行う労災就学援護費の支給に関する決定は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。 https://www.…

 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律79条1項2号に該当するとして保護室に収容されている未決拘禁者との面会の申出が弁護人又は弁護人となろうとする者からあった場合に,その申出があった事実を未決拘禁者に告げないまま,保護室に収容中であることを理由として面会を許さない刑事施設の長の措置が国家賠償法1条1項の適用上違法となる場合

平成30年10月25日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律79条1項2号に該当するとして保護室に収容されている未決拘禁者との面会の申出が弁護人又は弁護人となろうとする者からあった場合に,その申出があった…

医薬品の添付文書(能書)に記載された使用上の注意事項と医師の注意義務

平成8年1月23日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 医師が医薬品を使用するに当たって医薬品の添付文書(能書)に記載された使用上の注意事項に従わず、それによって医療事故が発生した場合には、これに従わなかったことにつき特段の合理的理由がない限り、…

都道府県による児童福祉法27条1項3号の措置に基づき社会福祉法人の設置運営する児童養護施設に入所した児童を養育監護する施設の職員等と国家賠償法1条1項にいう公権力の行使に当たる公務員

平成19年1月25日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 1 都道府県による児童福祉法27条1項3号の措置に基づき社会福祉法人の設置運営する児童養護施設に入所した児童を養育監護する施設の長及び職員は,国家賠償法1条1項の適用において都道府県の公権力…

市立中学校の「中学校生徒心得」に男子生徒の頭髪は丸刈りとするなどの定めを置く行為が抗告訴訟の対象となる処分に当たらないとされた事例

平成8年2月22日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 市立中学校の「中学校生徒心得」に男子生徒の頭髪は丸刈りとする旨の定め及び生徒は外出のとき原則として制服又は体操服を着用する旨の定めを置く行為は、右「中学校生徒心得」が「次にかかげる心得は、大…

単独犯の訴因で起訴された被告人に共謀共同正犯者が存在するとしても,訴因どおりに犯罪事実を認定することが許されるか

平成21年7月21日最高裁判所第三小法廷決定 裁判要旨 検察官において共謀共同正犯者の存在に言及することなく,被告人が当該犯罪を行ったとの訴因で公訴を提起した場合において,被告人1人の行為により犯罪構成要件のすべてが満たされたと認められるときは,…

後見人がその就職前にした無権代理による訴えの提起及び弁護士に対する訴訟委任の行為の効力を再審の訴えにおいて否定することが信義則に反して許されないとはいえないとされた事例

平成7年11月9日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 甲が禁治産者乙の後見人に就職する前に乙のために無権限で訴えを提起した上弁護士に対する訴訟委任をし、これに基づいて判決がされた場合には、甲が乙の姉であって後見人に就職する前から事実上後見人の立…

賃貸人から賃借人に対して借地借家法38条2項所定の書面の交付があったとした原審の認定に経験則又は採証法則に反する違法があるとされた事例

平成22年7月16日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 賃貸人が定期建物賃貸借契約の締結に先立ち説明書面の交付があったことにつき主張立証をしていないに等しいにもかかわらず,賃貸借契約に係る公正証書に説明書面の交付があったことを相互に確認する旨の条…

本人が無権代理行為の追認を拒絶した後に無権代理人が本人を相続した場合における無権代理行為の効力

平成10年7月17日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合には、その後無権代理人が本人を相続したとしても、無権代理行為が有効になるものではない。 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/792/052792_hanrei.pd…