最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-04-25から1日間の記事一覧

 会社法423条1項に基づく損害賠償請求訴訟において原告の設置した取締役責任調査委員会の委員であった弁護士が原告の訴訟代理人として行う訴訟行為を弁護士法25条2号及び4号の類推適用により排除することはできないとされた事例

令和4年6月27日最高裁判所第一小法廷決定 裁判要旨 株式会社である原告の設置した取締役責任調査委員会により、原告の取締役であった被告に対する事情聴取が行われた後、原告が、被告に対し、上記委員会の委員であった弁護士を訴訟代理人として、会社法42…

共犯関係が解消していないとされた事例

平成元年6月26日最高裁判所第一小法廷決定 裁判要旨 甲が、乙と共謀のうえ、こもごも丙に暴行を加えたのち、現場から立ち去るに際し、乙において丙に対しなお暴行を加えるおそれが消滅していなかつたのに、格別これを防止する措置を講じなかつたときは、甲乙…

正当防衛に当たる暴行及びこれと時間的,場所的に連続して行われた暴行について,両暴行を全体的に考察して1個の過剰防衛の成立を認めることはできないとされた事例

平成20年6月25日最高裁判所第一小法廷決定 裁判要旨 相手方の急迫不正の侵害に対し,正当防衛に当たる暴行(以下「第1暴行」という。)を加えて同人を転倒させた被告人が,これと時間的,場所的に連続して暴行(以下「第2暴行」という。)を加えた場合にお…

インターネットを利用して短文の投稿をすることができる情報ネットワークにおいてある者のプライバシーに属する事実を摘示するメッセージが投稿された場合にその者が上記情報ネットワークの運営者に対して上記メッセージの削除を求めることができるとされた事例

令和4年6月24日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 インターネットを利用して短文の投稿をすることができる情報ネットワークにおいて、ある者が建造物侵入の被疑事実により逮捕されたというその者のプライバシーに属する事実を摘示するメッセージの投稿がさ…

民法750条及び戸籍法74条1号と憲法24条

令和3年6月23日最高裁判所大法廷決定 裁判要旨 民法750条及び戸籍法74条1号は,憲法24条に違反しない。(補足意見,意見及び反対意見がある。) https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90412 https://www.courts.go.jp/app/files/hanre…

複数年度分の普通徴収に係る個人の住民税を差押えに係る地方税とする滞納処分において当該差押えに係る地方税に配当された金銭であってその後に減額賦課決定がされた結果配当時に存在しなかったこととなる年度分の住民税に充当されていたものの帰すう

令和3年6月22日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 複数年度分の普通徴収に係る個人の住民税(市町村民税及び道府県民税)を差押えに係る地方税とする滞納処分において,当該差押えに係る地方税に配当された金銭であって,その後に減額賦課決定がされた結果…

担保不動産競売の債務者が免責許可の決定を受け,同競売の基礎となった担保権の被担保債権が上記決定の効力を受ける場合,当該債務者の相続人は,民事執行法188条において準用する同法68条にいう「債務者」に当たらない。

令和3年6月21日最高裁判所第一小法廷決定 裁判要旨 担保不動産競売の債務者が免責許可の決定を受け,同競売の基礎となった担保権の被担保債権が上記決定の効力を受ける場合,当該債務者の相続人は,民事執行法188条において準用する同法68条にいう「債…

主婦を強姦目的で殺害した上姦淫しさらにその場で生後11か月の同女の長女をも殺害するなどした当時18歳の被告人につき第1審判決の無期懲役の科刑を維持した控訴審判決が量刑不当として破棄された事例

平成18年6月20日最高裁判所第三小法廷判決 判示事項 主婦を強姦目的で殺害した上姦淫しさらにその場で生後11か月の同女の長女をも殺害するなどした当時18歳の被告人につき第1審判決の無期懲役の科刑を維持した控訴審判決が量刑不当として破棄された事例…

連帯債務者の一人が死亡し、その相続人が数人ある場合に、相続人らは、被相続人の債務の分割されたものを承継し、各自その承継した範囲において、本来の債務者とともに連帯債務者となると解すべきである。

昭和34年6月19日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 連帯債務者の一人が死亡し、その相続人が数人ある場合に、相続人らは、被相続人の債務の分割されたものを承継し、各自その承継した範囲において、本来の債務者とともに連帯債務者となると解すべきである。…

共有物分割請求訴訟

昭和46年6月18日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 一、民法二五八条一項にいう「共有者ノ協議調ハサルトキ」とは、共有者の一部に共有物分割の協議に応ずる意思がないため共有者全員において協議をすることができない場合を含むものであつて、現実に協議を…