最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-05-01から1日間の記事一覧

県が職員らの不正につき損害賠償金を支払ったことにより取得した求償権の一部を知事において行使しないことが違法な怠る事実に当たるとはいえないとした原審の判断に違法があるとされた事例

平成29年9月15日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 県が教員採用試験における職員らの不正のため不合格となった受験者らに損害賠償金を支払ったことにより取得した求償権の一部を知事において行使しないことが財産の管理を違法に怠るものであるとして提起さ…

協議離婚に伴う財産分与契約をした分与者の課税負担の錯誤に係る動機が意思表示の内容をなしたとされた事例

平成元年9月14日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 協議離婚に伴い夫が自己の不動産全部を妻に譲渡する旨の財産分与契約をし、後日夫に二億円余の譲渡所得税が課されることが判明した場合において、右契約の当時、妻のみに課税されるものと誤解した夫が心配…

借地借家法38条2項所定の書面が賃借人の認識にかかわらず契約書とは別個独立の書面であることの要否

平成24年9月13日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 借地借家法38条2項所定の書面は,賃借人が,その契約に係る賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により終了すると認識しているか否かにかかわらず,契約書とは別個独立の書面であることを要する。 htt…

大学がその主催する講演会に参加を申し込んだ学生の氏名,住所等の情報を警察に開示した行為が不法行為を構成するとされた事例

平成15年9月12日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 1 大学が講演会の主催者として学生から参加者を募る際に収集した参加申込者の学籍番号,氏名,住所及び電話番号に係る情報は,参加申込者のプライバシーに係る情報として法的保護の対象となる。2 大学が…

貸金業者において,特約に基づき借主が期限の利益を喪失した旨主張することが,信義則に反し許されないとされた事例

平成21年9月11日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 貸金業者が,借主に対し,元利金の支払を怠ったときは当然に期限の利益を喪失する旨の特約の下に金銭の貸付けを行い,借主が期限の利益を喪失した後に,一部弁済を受領する都度,弁済金を遅延損害金と残元…

市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定と抗告訴訟の対象

平成20年9月10日最高裁判所大法廷判決 裁判要旨 市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。(補足意見及び意見がある。) https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=36787 https://www.court…

生命保険契約の解約返戻金請求権の差押債権者がこれを取り立てるために解約権を行使することの可否

平成11年9月9日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 生命保険契約の解約返戻金請求権を差し押さえた債権者は、これを取り立てるため、債務者の有する解約権を行使することができる。(反対意見がある。) https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=…

 固定資産課税台帳に登録された土地の価格についての審査の申出を棄却する旨の審査の決定をした固定資産評価審査委員会の委員に職務上の注意義務違反が認められないとした原審の判断に違法があるとされた事例

令和4年9月8日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日におけるゴルフ場用地(ゴルフ場の用に供する一団の土地)の価格について、固定資産評価審査委員会が、当該ゴルフ場用地の取得価額の評定に当たり用いた…

前科証拠を被告人と犯人の同一性の証明に用いることが許されないとされた事例

平成24年9月7日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 1 前科証拠は,自然的関連性があることに加え,証明しようとする事実について,実証的根拠の乏しい人格評価によって誤った事実認定に至るおそれがないと認められるときに証拠能力が肯定され,前科証拠を被…

所得税法が夫婦の所得を合算切半して計算することにしていないことの憲法第二四条適否:合算主義と別算主義

昭和36年9月6日最高裁判所大法廷判決 裁判要旨 一 民法第七六二条第一項は憲法第二四条に違反しない。二 所得税法が夫婦の所得を合算切半して計算することにしていないからといつて憲法第二四条に違反しない。 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detai…

日本放送協会の放送の受信についての契約に基づく受信料債権の消滅時効期間

平成26年9月5日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 受信料が月額又は6箇月若しくは12箇月前払額で定められ,その支払方法が2箇月ごとの各期に当該期分を一括して支払う方法又は6箇月分若しくは12箇月分を一括して前払する方法によるものとされている…