最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-05-17から1日間の記事一覧

歌手を被写体とする写真を同人に無断で週刊誌に掲載する行為がいわゆるパブリシティ権を侵害するものではなく不法行為法上違法とはいえないとされた事例

平成24年2月2日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 1 人の氏名,肖像等を無断で使用する行為は, (1)氏名,肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用し, (2)商品等の差別化を図る目的で氏名,肖像等を商品等に付し, (3)氏名,肖像等を商…

電磁的記録を保管した記録媒体がサイバー犯罪に関する条約の締約国に所在し同記録を開示する正当な権限を有する者の合法的かつ任意の同意がある場合に国際捜査共助によることなく同記録媒体へのリモートアクセス及び同記録の複写を行うことの許否

令和3年2月1日最高裁判所第二小法廷決定 裁判要旨 1 電磁的記録を保管した記録媒体がサイバー犯罪に関する条約の締約国に所在し,同記録を開示する正当な権限を有する者の合法的かつ任意の同意がある場合に,国際捜査共助によることなく同記録媒体へのリモ…

 検索事業者に対し,自己のプライバシーに属する事実を含む記事等が掲載されたウェブサイトのURL並びに当該ウェブサイトの表題及び抜粋を検索結果から削除することを求めることができる場合

平成29年1月31日最高裁判所第三小法廷決定 裁判要旨 利用者の求めに応じてインターネット上のウェブサイトを検索し,ウェブサイトを識別するための符号であるURLを検索結果として当該利用者に提供する事業者が,ある者に関する条件による検索の求めに応じ…

令和2年総務省令第82号の施行前に特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者がプロバイダ責任制限法(令和3年法律第27号による改正前のもの)4条1項に基づき上記施行後に発信者の電話番号の開示を請求することの可否

令和5年1月30日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、当該権利の侵害が令和2年総務省令第82号の施行前にされたものであったとしても、プロバイダ責任制限法(令和3年法律第27号…

自動車を運転する予定の者に対し,ひそかに睡眠導入剤を摂取させ運転を仕向けて交通事故を引き起こさせ,事故の相手方に傷害を負わせたという殺人未遂被告事件について,事故の相手方に対する殺意を認めた第1審判決に事実誤認があるとした原判決に,刑訴法382条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例

令和3年1月29日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 被告人が,自動車を運転する予定の者に対し,ひそかに睡眠導入剤を摂取させて運転するよう仕向けたことにより,走行中にその運転者が仮睡状態等に陥って自車を対向車線に進出させて対向車に衝突させる交通…

離婚に伴う慰謝料として夫婦の一方が負担すべき損害賠償債務が履行遅滞となる時期

令和4年1月28日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 離婚に伴う慰謝料として夫婦の一方が負担すべき損害賠償債務は,離婚の成立時に遅滞に陥る。 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90885 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/885…

村が特定の工場の誘致を決定したのち新たに就任した村長において工場建設に対する協力を拒否する方針をとりこれによつて工場を設置しようとした者に損害を与えることが違法な加害行為にあたるものとされた事例

昭和56年1月27日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 一 地方公共団体が定めた一定内容の継続的な施策が、特定の者に対して右施策に適合する特定内容の活動をすることを促す個別的、具体的な勧告ないし勧誘を伴うものであり、かつ、その特定内容の活動が相当…

 1相続分の指定が遺留分減殺請求により減殺された場合の効果  2特別受益に当たる贈与についてされたいわゆる持戻し免除の意思表示が遺留分減殺請求により減殺された場合における具体的相続分の算定方法

平成24年1月26日最高裁判所第一小法廷決定 裁判要旨 1 遺留分減殺請求により相続分の指定が減殺された場合には,遺留分割合を超える相続分を指定された相続人の指定相続分が,その遺留分割合を超える部分の割合に応じて修正される。 2 特別受益に当たる贈…

国又は公共団体以外の者の被用者が第三者に損害を加えた場合であっても,当該被用者の行為が国又は公共団体の公権力の行使に当たるとして国又は公共団体が国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負うときは,使用者は民法715条に基づく損害賠償責任を負わない。

平成19年1月25日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 1 都道府県による児童福祉法27条1項3号の措置に基づき社会福祉法人の設置運営する児童養護施設に入所した児童を養育監護する施設の長及び職員は,国家賠償法1条1項の適用において都道府県の公権力…

不特定多数の消費者に向けられた事業者等による働きかけと消費者契約法12条1項及び2項にいう「勧誘」

平成29年1月24日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 事業者等による働きかけが不特定多数の消費者に向けられたものであったとしても,そのことから直ちにその働きかけが消費者契約法12条1項及び2項にいう「勧誘」に当たらないということはできない。 htt…

株式会社の株式の相当数を保有する株主が当該株式会社の株式等の公開買付けを行い,その後に当該株式会社の株式を全部取得条項付種類株式とし,当該株式会社が同株式の全部を取得する取引において,上記公開買付けが一般に公正と認められる手続により行われた場合における会社法172条1項にいう「取得の価格」

平成28年7月1日最高裁判所第一小法廷決定 裁判要旨 株式会社の株式の相当数を保有する株主が当該株式会社の株式等の公開買付けを行い,その後に当該株式会社の株式を全部取得条項付種類株式とし,当該株式会社が同株式の全部を取得する取引において,独立し…