最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-07-02から1日間の記事一覧

1上告審と無権代理人の訴訟行為の追認     2家庭裁判所が選任した不在者財産管理人の上訴権限

昭和47年9月1日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 一、権限のある代理人は、上告審において、上告審および控訴審における無権代理人の訴訟行為を追認することができる。二、家庭裁判所が選任した不在者財産管理人は、民法二八条所定の家庭裁判所の許可を得…

民法第五九七条第二項但書の類推適用により土地使用貸借の解約が有効とされた事例

昭和42年11月24日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 父母を貸主とし、子を借主として成立した返還時期の定めがない土地の使用貸借であつて、使用の目的は、建物を所有して会社の経営をなし、あわせて、右経営から生ずる収益により老父母を扶養する等判示内…

 被参加人の意思に反する補助参加人の控訴申立の効力

昭和46年6月29日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 補助参加人のなした控訴の申立が被参加人の意思に反するものであつても、その申立の以前に、被参加人が相手方と不控訴の合意をなし、または控訴権を放棄していたなどの事由の存在しないかぎり、右控訴の申…

市が公共の用に供するために借り受けた土地につき固定資産税を非課税とすることができないのに非課税措置を採ったことによる損害と右措置を採らなかったならば必要とされる右土地の使用の対価の支払を免れたという利益とは損益相殺の対象となるとされた事例

平成6年12月20日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 一 通常の取引上固定資産の貸借の対価に相当する額に至らないとしても、その固定資産の使用に対する代償として金員が支払われている場合は、地方税法三四八条二項ただし書にいう「固定資産を有料で借り受…

白紙委任状および売渡証書などが濫用された場合に民法109条、110条の適用があるとされた事例

昭和45年7月28日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 甲が、その所有の不動産を乙に売り渡し、乙の代理人丙を介して白紙委任状、名宛人白地の売渡証書など登記関係書類を交付したところ、右不動産の所有権を取得した乙から、これを丁所有の不動産と交換するこ…

差止めの訴えの訴訟要件である「行政庁によって一定の処分がされる蓋然性があること」を満たさない場合における,将来の不利益処分の予防を目的として当該処分の前提となる公的義務の不存在確認を求める無名抗告訴訟の適否

令和元年7月22日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 将来の不利益処分の予防を目的として当該処分の前提となる公的義務の不存在確認を求める無名抗告訴訟は,差止めの訴えの訴訟要件である「行政庁によって一定の処分がされる蓋然性があること」を満たさない…

告示により一括して指定する方法でされた建築基準法42条2項所定のいわゆるみなし道路の指定と抗告訴訟の対象

平成14年1月17日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 告示により一定の条件に合致する道を一括して指定する方法でされた建築基準法42条2項所定のいわゆるみなし道路の指定は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。 https://www.courts.go.jp/app/files/…

 国家賠償と賠償責任の負担者

昭和46年9月3日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 公権力の行使に当たる国の公務員が、その職務を行なうについて、故意または過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国がその被害者に対し賠償の責に任ずるのであつて、本件のような事実関係(判決理…