最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-07-13から1日間の記事一覧

 一般廃棄物収集運搬業又は一般廃棄物処分業の許可処分又は許可更新処分の取消訴訟と当該処分の対象とされた区域につき既にその許可又は許可の更新を受けている者の原告適格

平成26年1月28日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 市町村長から一定の区域につき既に一般廃棄物収集運搬業又は一般廃棄物処分業の許可又はその更新を受けている者は,当該区域を対象として他の者に対してされた一般廃棄物収集運搬業又は一般廃棄物処分業の…

滞納者と他の者との共有に係る不動産の滞納者の持分に対する差押処分の取消訴訟と他の共有者の原告適格

平成25年7月12日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 滞納者と他の者との共有に係る不動産につき滞納者の持分が国税徴収法47条1項に基づいて差し押さえられた場合における他の共有者は,その差押処分の取消訴訟の原告適格を有する。 https://www.courts.go…

生活保護法62条3項に基づく保護の廃止の決定に先立ち,処分行政庁による被保護者に対する同法27条1項に基づく指示が生活保護法施行規則19条により書面によって行われた場合において,当該書面に記載されていた事項に代わる対応として処分行政庁が口頭で指導していた事項が指示の内容に含まれると解することはできないとされた事例

平成26年10月23日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 生活保護法62条3項に基づく保護の廃止の決定に先立ち,処分行政庁による被保護者に対する同法27条1項に基づく指示が生活保護法施行規則19条により書面によって行われた場合において,当該書面に…

いわゆる時間外労働の義務を定めた就業規則と労働者の義務

平成3年11月28日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 使用者が、労働基準法(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの)三六条所定の書面による協定を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出た場合において、当該事業場に適用される就業規則に右協定の…

夫婦が婚姻の際に定めるところに従い夫又は妻の氏を 称すると定める民法750条の規定は憲法違反か?

平成27年12月16日最高裁判所大法廷判決 裁判要旨 1 民法750条は,憲法13条に違反しない。2 民法750条は,憲法14条1項に違反しない。3 民法750条は,憲法24条に違反しない。(3につき補足意見,意見,反対意見がある。) https://www.court…

 生物学的な性別が男性であり性同一性障害である旨の医師の診断を受けている一般職の国家公務員がした職場の女性トイレの使用に係る国家公務員法86条の規定による行政措置の要求を認められないとした人事院の判定が違法とされた事例

令和5年7月11日最高裁判所第三小法廷判決 判示事項 生物学的な性別が男性であり性同一性障害である旨の医師の診断を受けている一般職の国家公務員がした職場の女性トイレの使用に係る国家公務員法86条の規定による行政措置の要求を認められないとした人事…

大韓民国の国籍を有するAとその嫡出子として同国の戸籍に記載されているYとの間の実親子関係についてAの子であるXらが不存在確認請求をすることが権利の濫用に当たらないとした原審の判断に,同国の民法の解釈適用を誤った違法があるとされた事例

平成20年3月18日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 大韓民国の国籍を有するAの嫡出子として同国の戸籍に記載されているYがAの実子ではない場合において,次の(1)〜(4)などの判示の事情の下では,これらの事情を十分検討することなく,Aの子であるXらが…

契約の一方当事者が契約の締結に先立ち信義則上の説明義務に違反して契約の締結に関する判断に影響を及ぼすべき情報を相手方に提供しなかった場合の債務不履行責任の有無

平成23年4月22日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 契約の一方当事者が,当該契約の締結に先立ち,信義則上の説明義務に違反して,当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を相手方に提供しなかった場合には,上記一方当事者は,相手方…

医師が肝硬変の患者につき肝細胞がんを早期に発見するための検査を実施しなかった注意義務違反と患者の右がんによる死亡との間の因果関係を否定した原審の判断に違法があるとされた事例

平成11年2月25日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 一 医師が注意義務に従って行うべき診療行為を行わなかった不作為と患者の死亡との間の因果関係は、医師が右診療行為を行っていたならば患者がその死亡の時点においてなお生存していたであろうことを是認…

認知の届出が受理された当時認知者が意識を失つていた場合と認知の届出の効力

昭和54年3月30日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 甲、乙間に血縁上の父子関係があり、甲が乙を認知する意思を有し、かつ、甲から他人に対し認知届出の委託がされていたときは、届出が受理された当時甲が意識を失つていたとしても、その届出の前に翻意した…

賃借権の目的である土地と他の土地とにまたがって建築されている建物について,借地権設定者が,借地借家法19条3項に基づき,自ら当該建物及び賃借権の譲渡を受ける旨の申立てをすることの許否

平成19年12月4日最高裁判所第三小法廷決定 裁判要旨 借地権者が,賃借権の目的である土地と他の土地とにまたがって建築されている建物を第三者に譲渡するために,借地借家法19条1項に基づき,賃借権の譲渡の承諾に代わる許可を求める旨の申立てをした場合…