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上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

当事者双方不出頭の口頭弁論期日において弁論を終結するに際し、裁判長が法廷において判決言渡期日を指定し、これを告知する方法としてその言渡をしたときは、当事者に対してその効力を生じ、更に右期日に出頭すべき旨の呼出状を送達することを要しない。

昭和56年3月20日最高裁判所第二小法廷判決

裁判要旨    
 一 当事者双方不出頭の口頭弁論期日において弁論を終結するに際し、裁判長が法廷において判決言渡期日を指定し、これを告知する方法としてその言渡をしたときは、当事者に対してその効力を生じ、更に右期日に出頭すべき旨の呼出状を送達することを要しない。

二 土地所有者が地代の受領を拒絶し又は地上権の存在を否定する等弁済を受領しない意思が明確であるため地上権者が言語上の提供をするまでもなく地代債務の不履行の責を免れるという事情がある場合には、土地所有者は、みずから受領拒絶の態度を改め、以後地代を提供されればこれを確実に受領すべき旨を明らかにしたのち相当期間を経過したか、又は相当期間を定めて催告をしたにもかかわらず地上権者が右期間を徒過した等、自己の受領遅滞又はこれに準ずる事態を解消させる措置を講じたのちでなければ、民法二六六条一項、二七六条に基づく地上権消滅請求の意思表示をすることができない。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/336/056336_hanrei.pdf

 

 上告代理人の上告理由第一点について
 準備手続を経ない口頭弁論期日(第一回期日を除く。)の変更は、当事者の合意がある場合であつても、顕著な事由の存在が明らかでない限り、これを許さなければならないものではないことは、民訴法一五二条五項、民訴規則一三条の規定に照らして明らかである。そして、本件記録に徴しても、所論第四回口頭弁論期日の変更を必要とする顕著な事由の存在が明らかであつたと認めることはできないから、原審が上告代理人(控訴代理人)の右期日の変更申請を容れなかつたことは相当であり、また、同期日に尋問予定の上告人A1及び被上告人の各本人尋問の採用を取り消して口頭弁論を終結した措置に所論の違法は認められない。論旨は、独自の見解に基づいて原審の措置を論難するにすぎないものであつて、採用することができない。

 同第二点について

当事者の双方が適法な呼出を受けながら口頭弁論期日に出頭しない場合においても、訴訟が裁判をするに熟するときは、裁判所は口頭弁論を終結することが許されるものであるところ(最高裁昭和四一年一一月二二日第三小法廷判決)、右審理の終結に際し、裁判長が法廷において判決言渡期日を指定し、これを告知する方法としてその言渡をしたときは、民訴法二〇七条、一九〇条二項により在廷しない当事者に対してその効力を有し、更に右判決言渡期日に出頭すべき旨の呼出状を送達することを要しないものと解すべきである(一方当事者の不出頭の場合についての最高裁昭和二三年五月一八日第三小法廷判決)。したがつて、原判決に所論の違法はない。

なお、憲法三二条の規定は、何びとも裁判所において裁判を受ける権利があることを保障したものであり、右のような訴訟の経過で判決言渡期日が指定された場合における呼出の要否につき上記のような解釈をすることは同条の定めとなんらの関係もないから、所論違憲の主張はその前提を欠くものであつて、失当である。論旨はいずれも採用することができない。

 同第三点及び第四点について

 一 本訴請求につき、原審が確定した事実関係の概要は、次のとおりである。

 1 第一審判決別紙目録(一)1記載の土地(「本件土地」)並びにその地上に存する同目録(二)記載の建物(「(二)の建物」)及び同目録(三)記載の建物(「(三)の建物」)は、いずれも上告人A1の父Dの所有であつたもので、そのうち本件土地と(二)の建物についてはDがその債権者のため抵当権を設定していたものであるところ、債権者によつて右土地、建物の抵当権が実行され、被上告人が昭和三三年六月一三日競落許可決定により本件土地を競落してその所有権を取得したところから、(二)の建物のためその敷地で本件土地の一部である同目録(一)2記載の土地(「A土地」)に、また、(三)の建物のためその敷地で本件土地の一部である同目録(一)3記載の土地(「B土地」)に、更に、本件土地の一部で当時建物の存在していた第一審判決別紙土地実測図記載の(C)部分の土地(「C土地」)に右建物のため、それぞれDを権利者とする法定地上権が発生した。 

 2 次いで、上告人A1は、昭和三四年二月二五日競落許可決定により(二)の建物を競落してその所有権を取得し、更に同年一〇月六日にはDから(三)の建物の贈与を受けてその所有権を取得したことに伴い、A土地及びB土地についてそれぞれ法定地上権を取得し、また、C土地についても法定地上権を取得した。その後、昭和三四年一一月ころ、被上告人の父訴外Eが被上告人の代理人となり、同人と上告人A1との間で、A・B・C各土地(合計約三〇坪)についての法定地上権の地代を一か月三〇〇〇円毎月末日払いとするとの合意が成立し、そのころ上告人A1において同年一一月分の地代を支払つた。

 3 昭和三五年五月中旬ころ、上告人A1がC土地に存在していた建物を取り毀したところ、同月一三日、被上告人は、C土地を目的として上告人A1の占有を解き執行吏保管に付する旨の仮処分を得てこれを執行し、かつ、C土地とA・B各土地との境界に板塀を設置して、上告人A1がA・B各土地以外の土地を使用することを不可能にした。そのため、上告人A1は、同年八月一九日右板塀の撤去を命ずる仮処分命令を得て、そのころこれを執行した。

 4 以上の経緯ののち昭和三六年四月に至り、被上告人は、長崎地方裁判所に上告人A1を被告としてB・C各土地の明渡を求める訴訟(「前訴」)を提起した。

上告人A1は、右訴訟の係属中である同年一〇月二八日、被上告人に対し、昭和三四年一二月分から同三五年二月分までの一か月三〇〇〇円の割合による三か月分の地代九〇〇〇円を現実に提供したが、被上告人はその受領を拒絶した。

ところが、前訴は、その後昭和三八年一〇月中にいわゆる休止満了により訴を取り下げたものと看做されて終了した。

 5 その後、(二)の建物は、昭和四二年九月二〇日に上告人A1から訴外Fに、次いで、同四三年三月二一日にFから上告人A2に、順次売り渡されたため、A土地についての法定地上権もFを経て上告人A2の承継取得するところとなつた。 

 6 A・B・C各土地の地代については、上告人A1が昭和三四年一一月分の支払をし、また、昭和三六年一〇月に同三四年一二月分以降三か月分について弁済の提供をした以外に、上告人A1において弁済の提供をしたことや、同上告人、F及び上告人A2においてその支払をしたことはない。

 二 被上告人の本訴請求は、右事実関係のもとで、B土地については、上告人A1が昭和三四年一二月分以降引続き二年以上約定にかかる地代の支払をしなかつたことを理由として、民法二六六条、二七六条の規定に基づき、被上告人から同上告人に対する昭和四五年一〇月五日到達の書面をもつて地上権消滅の請求をしたことにより同上告人の有する法定地上権が消滅したとして、同上告人に対し、(三)の建物の収去によるB土地の明渡と延滞にかかる約定地代及び右土地明渡ずみに至るまでの地代額相当の遅延損害金の支払を求めるものであり、また、A土地については、上告人A1が昭和三四年一二月分以降地代の支払をせず、また同上告人から地上権を順次承継したF及び上告人A2もまた地代の支払をしなかつたことを理由として、前記法条に基づき、被上告人から同上告人に対する昭和四五年一〇月八日到達の書面をもつて地上権消滅の請求をしたことにより同上告人の有する法定地上権が消滅したとして、同上告人に対し(二)の建物の収去によるA土地の明渡と延滞にかかる約定地代及び右土地明渡ずみに至るまでの地代相当の遅延損害金の支払を求め、また、(二)の建物に居住する上告人A1に対し同建物からの退去によるB土地の明渡を求めるものである。

 三 次に、本訴請求についての原審の判断の概要は、次のとおりである。

すなわち、

(1) 土地所有者が法定地上権の存在を否認して地代の受領を拒絶し、又はあらかじめその受領を拒絶している場合には、右受領拒絶の態度を変更しない限り、口頭の提供をも要しない、

(2) しかしながら、受領拒絶の態度を表明したのち相当長期間を経過し、あるいはその態度の変更と目される徴候が認められるなどの事情の変更により土地所有者の受領拒絶の意思が明確とはいえなくなり、むしろ受領の可能性が生じている場合には、信義則に照らし、地上権者は、遅滞なくその態度に即応する程度の履行の提供をすべきであり、これをしないときは、右時点以降履行遅滞の責を免れない、

(3) 本件において、上告人らは、C土地についてはともかく、A・B土地については十分にこれを利用しているから右各土地の面積の割合に相当する地代額についてはその支払義務を負うところ、被上告人は、昭和三六年四月、上告人A1に対しB・C各土地の明渡を要求して前訴を提起したから、その係属時から前訴が終了した昭和三八年一〇月までの間は、上告人A1の法定地上権の存在を否認し、B・C各土地についての地代の受領を明確に拒絶していたものと推認することができ、同上告人は右訴訟の係属期間中は右各土地の地代の支払につき遅滞の責を負うことがない、

(4) しかしながら、前訴は昭和三八年一〇月に休止満了となり訴を取り下げたものとみなされて終了したのであり、被上告人は、前訴を休止満了とすることによつて、上告人A1が現に使用中であつたB土地についての明渡請求を撤回したものということができるから、被上告人は右時点以降B土地についての地代の受領拒絶の態度を変更したものとみるべきである。したがつて、上告人A1は、右時点以降遅滞なくB土地の地代につき履行の提供をすべきであつたものであり、本件訴訟が提起された昭和四三年六月までの間引き続き四年以上にわたり地代の支払を怠つていたことになる、

(5) 次に、A土地は前訴において明渡請求の対象とならなかつた土地であるから、その地代については被上告人の受領拒絶の意思が明確であつたと推認することはできない(なお、上告人A1が昭和三六年一〇月二八日にした昭和三四年一二月から同三五年二月分までの三か月分の地代の提供は、債務の本旨に従つたものとはいえず、弁済提供としての効力を認めることができない。)、したがつて、A土地については、上告人A2は、その前々主である上告人A1及び前主であるFが権利者であつた期間を通算して昭和三四年一 二月から同四三年三月二〇日までの間引き続き八年以上にわたり地代の支払が遅滞の状態にある法定地上権を承継取得したことになる、

(6) それゆえ、被上告人が、B土地につき上告人A1に対し、A土地につき上告人A2に対し、それぞれした本件地上権消滅請求はいずれも有効であり、各意思表示の到達により上告人らの右各土地についての法定地上権は消滅した。

原審は、以上の判断により、被上告人の上告人らに対するA・B土地の前示明渡請求の全部並びにこれに伴う地代請求及び遅延損害金請求の一部を認容した。

 四 しかしながら、被上告人のした地上権消滅請求の効力を認めた原審の判断は、たやすくこれを首肯することができない。その理由は、次のとおりである。

 1 債権者が契約の存在を否定する等弁済を受領しない意思が明確であると認められるときは、債務者は、言語上の提供をしなくても債務不履行の責を免れるものと解すべきであること(最高裁昭和三二年六月五日大法廷判決)、建物の賃貸借契約において、賃貸人が現実に提供された賃料の受領を拒絶したときは、特段の事情のない限り、その後において提供されるべき賃料についても、受領拒絶の意思を明確にしたものと解すべきであり、右賃貸人が賃借人の賃料の不払を理由として契約を解除するためには、単に賃料の支払を催告するだけでは足りず、その前提として、受領拒絶の態度を改め、以後賃料を提供されれば確実にこれを受領すべき旨を表示する等、自己の受領遅滞を解消させるための措置を講じなければならないものであること(最高裁昭和四五年八月二〇日第一小法廷判決)は、いずれも当裁判所の判例とするところであつて、右の法理は、本件のように、土地所有者が地上権者に対し地代の支払の遅滞を理由として民法二六六条、二七六条の規定に基づき地上権の消滅を請求する場合においても妥当するものと解すべきである。

そして、これらの判例の趣旨に徴すれば、地代債務の支払につき土地所有者が受領遅滞にあるか、又は受領遅滞とはいえなくても、契約の存在を否定する等弁済を受領しない意思が明確であると認められるため地上権者が地代債務につき言語上の提供をするまでもなく債務不履行の責を免れるという状況のもとで、土地所有者が前記法条に基づき地上権を消滅せしめるためには、単に地上権者が引き続き二年以上地代の支払をしなかつたということだけでは足りず、その前提として、土地所有者が受領拒絶の態度を改めて、以後地代を提供されればこれを確実に受領すべき旨を明らかにし、その後相当期間を経た場合であるか、又は相当の期間を定めて催告をしたにもかかわらず地上権者がこれに応じないまま右期間を徒過した場合である等自己の受領遅滞又はこれに準ずるような前記の事態を解消させる措置を講じたのちであることを要すると解するのが相当である。

けだし、前記法条に基づき地上権消滅請求の意思表示をするためには、継続して二年分以上の地代の不払があるというだけでは足りず、右不払につき地上権者の責に帰すべき事由がなければならないからである。

 2 本件についてこれをみるに、原審は、一般論としては前示のとおりの前提に立つたうえ、

(1) まずB土地についてされた地上権消滅請求の効力を判断するにつき、被上告人が昭和三八年一〇月に前訴を休止満了としたことは、とりもなおさず被上告人においてB土地についての明渡請求を撤回し、右時点以後B土地についての地代の受領拒絶の態度を変更したものとみるべきであつて、上告人A1は右時点以降遅滞なくB土地の地代につき履行の提供をすべきことになつた、というのである。

しかしながら、一般に、ある土地を目的とする明渡請求訴訟が休止満了となつたことにより訴の取下げと看做されて終了したからといつて、当該訴訟の原告が該土地に対する明渡要求を撤回し、その土地の地代や賃料についての受領拒絶の態度を変更したと断定することはできないというべきである。

のみならず、記録によつて本件訴訟の経過をみると、被上告人が昭和四三年六月一四日に本件訴訟を提起した際における訴状記載の請求の趣旨及びその原因は、A土地及びB土地に対する上告人らの占有が不法占拠であるとの主張のもとに、右各土地の所有権に基づき上告人らに対しそれぞれ、(二)及び(三)の建物の収去ないしは退去によるA・B各土地の明渡を求めるとともに、上告人A1に対しては昭和三三年六月一八日が同上告人のB土地に対する不法占有の始期であると主張して同日から右明渡ずみに至るまでの借地料相当の損害金又は不当利得金の支払を求め、また、上告人A2に対しては昭和四三年三月二六日が同上告人のA土地に対する不法占有の始期であると主張して同日から右明渡ずみに至るまでの損害金の支払を求めるというにあり、他方、上告人ら提出の答弁書に記載された抗弁事実は、A・B土地についての法定地上権の成立を主張するものであり、いずれも昭和四三年八月三日の第二回口頭弁論期日において陳述されたところ、その後事件が職権をもつて調停に付されるなどして訴訟手続が進行しないまま経過し、昭和四五年二月、右調停が不調となつて訴訟手続が再開されたが、被上告人は、同年一〇月に至つて前示のように上告人らに対し訴訟外で地上権消滅請求の意思表示をしたうえ、同年一二月一七日の第一二回口頭弁論期日において、上告人ら主張の法定地上権の抗弁を認める陳述をし、再抗弁として前示地上権消滅請求の意思表示をした旨の主張をし、更に、同四六年五月一三日の第一三回口頭弁論期日に提出された訴状訂正の申立書と題する書面により、請求の趣旨とその原因を第一審判決の事実摘示と同一のものに改めたことが明らかである。

しかも、その記載からして上告人ら各自に対する右地上権消滅請求の意思表示を記載した書面であることが明らかな甲第一、二号証には、それぞれ、「貴殿は地上権を有する旨主張するが、それは否認する。仮に貴殿が地上権を有するとしても、……本書をもつて右地上権の消滅を請求する意思表示をする。」との記載があることが明らかである。

右事実関係によれば、被上告人は、むしろ前訴が休止満了となつて訴訟が終了したのちにおいても、上告人らのA・B土地に対する地上権の存在を否認する態度に出ていたものであつて、その態度は右地上権消滅請求の意思表示をした時点においてさえも持続されていたことが窺われるのである。

したがつて、前訴が休止満了となつて終了したとの事実から直ちに被上告人が受領拒絶の態度を改めたものと推認した原審の事実認定には、経験則の適用を誤つた違法があるものといわなければならない。

(2) 次に、原審は、A土地についてされた地上権消滅請求の効力を判断するにつき、A土地が前訴における明渡請求の対象とならなかつた土地であることを理由として、A土地の地代については被上告人の受領拒絶の意思が明確であつたと推認することができないとするのであるが、被上告人によりA土地についての地上権消滅請求の意思表示がされるまでの間、被上告人がA土地についても上告人らの地上権の存在を否認していたものと窺われることは、前示のとおりである(なお、原審は、前示のとおり、上告人A1が昭和三六年一〇月二八日に被上告人に対してした昭和三四年一二月分以降三か月分の地代についての弁済の提供の効力を否定しているが、原審の確定したところによれば、地代は月払いの約定であつたというのであり、弁済の提供をした時点における延滞額の全部を提供しなかつたからといつて、直ちに提供の効力を全部否定する理由はないから、被上告人は、特段の事情のない限り、右提供にかかる三か月分の地代に関しては受領遅滞に陥つたものというべきであり、受領拒絶の事情によつては被上告人はA土地についてその後の地代の受領を拒絶する態度を明確にしたといえる場合があるのであり、冒頭掲記の判例の趣旨に徴し、更にこの点についても審理を尽すべきものである。)。
してみれば、A土地の地代については被上告人の受領拒絶の意思が明確であつたと推認することができないとする原審の事実認定にもまた採証法則に違背したか、又は経験則の適用を誤つた違法があるものといわなければならない。

(3) そして、原判決の右各違法は、被上告人のした上告人らに対する地上権消滅請求の効力を認めた判断に、ひいて原判決中、上告人A1に対し(三)の建物の収去によるB土地の明渡及び右明渡に至るまでの損害金の支払を命じた部分、(二)の建物からの退去によるA土地の明渡を命じた部分並びに上告人A2に対し(二)の建物の収去によるA土地の明渡及び右明渡に至るまでの損害金の支払を命じた部分の結論に影響を及ぼすことが明らかであるから、論旨は理由があり、原判決は右の限度で破棄を免れず、右部分についてはなお審理を尽くさせる必要があるので、その限度で本件を原審に差戻すべきである。

しかしながら、原判決中その余の部分(上告人らに対しそれぞれ延滞にかかる地代の支払を命じた部分)についての上告は理由がないことが明らかであるからこれを棄却すべきである。