最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-05-26から1日間の記事一覧

普通地方公共団体の議会の議員に対する懲罰その他の措置が当該議員の私法上の権利利益を侵害することを理由とする国家賠償請求の当否の判断方法

平成31年2月14日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 1 普通地方公共団体の議会の議員に対する懲罰その他の措置が当該議員の私法上の権利利益を侵害することを理由とする国家賠償請求の当否を判断するに当たっては,当該措置が議会の内部規律の問題にとどま…

子の引渡しを命ずる審判を債務名義とする間接強制の申立てが権利の濫用に当たるとされた事例

平成31年4月26日最高裁判所第三小法廷決定 裁判要旨 婚姻中の父母のうち父に対して長男A,二男B及び長女Cを母に引き渡すよう命ずる審判を債務名義とするAの引渡しについての間接強制の申立ては,次の(1),(2)など判示の事情の下では,権利の濫用に当たる…

現況調査に訪れた執行官に対して虚偽の事実を申し向けるなどした刑法96条の3第1項該当行為があった時点が刑訴法253条1項にいう「犯罪行為が終つた時」とはならないとされた事例

平成18年12月13日最高裁判所第三小法廷決定 裁判要旨 現況調査に訪れた執行官に対して虚偽の事実を申し向け,内容虚偽の契約書類を提出した行為は,刑法96条の3第1項の「公の競売又は入札の公正を害すべき行為」に当たるが,上記虚偽の事実の陳述等に基…

無断転貸にもかかわらず賃貸借の解除ができない場合にされた賃貸借の合意解除と転借人の地位

昭和62年3月24日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 土地の無断転貸が行われたにもかかわらず賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるため賃貸人が賃貸借を解除することができない場合において、当該賃貸借が合意解除されたとしても、それ…

 第三者異議の訴えの原告についての法人格否認の法理の適用

平成17年7月15日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 第三者異議の訴えの原告の法人格が執行債務者に対する強制執行を回避するために濫用されている場合には,原告は,執行債務者と別個の法人格であることを主張して強制執行の不許を求めることは許されない。…

公にされている処分基準の適用関係を示さずにされた建築士法(平成18年法律第92号による改正前のもの)10条1項2号及び3号に基づく一級建築士免許取消処分が,行政手続法14条1項本文の定める理由提示の要件を欠き,違法であるとされた事例

平成23年6月7日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 建築士法(平成18年法律第92号による改正前のもの)10条1項2号及び3号に基づいてされた一級建築士免許取消処分の通知書において,処分の理由として,名宛人が,複数の建築物の設計者として,建築…

加入電話契約者以外の者がいわゆるダイヤルQ2事業における有料情報サービスを利用した場合における加入電話契約者の情報料支払義務の有無

平成13年3月27日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 1 加入電話契約者以外の者がいわゆるダイヤルQ2事業における有料情報サービスを利用した場合には,加入電話契約者は,情報料債務を自ら負担することを承諾しているなど特段の事情がない限り,情報提供…

賃貸人が地上の建物の不存在を理由に借地人の借地法四条一項に基づく借地権の更新請求権がないと主張することが信義則上許されないとされた事例

昭和52年3月15日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 従前の土地の賃借人が、仮換地上に移築し、所有していた建物が火災によつて滅失したのち、その再築をしょうとしたのに、賃貸人の建築禁止通告及びこれに続く仮換地明渡調停の申立によつて建物の築造を妨げ…

無利息無担保の金銭消費貸借は商法第二六五条にいう取引にあたるか。

昭和38年12月6日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 株式会社に対しその取締役が無利息、無担保で金銭を貸し付ける行為は、商法第二六五条にいう取引にあたらない。 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/806/053806_hanrei.pdf 商法二六五条が、取…

行為当時の最高裁判所の判例の示す法解釈に従えば無罪となるべき行為を処罰することと憲法三九条

平成8年11月18日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 行為当時の最高裁判所の判例の示す法解釈に従えば無罪となるべき行為であっても、これを処罰することは憲法三九条に違反しない。(補足意見がある。) https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/144/05…

共同抵当の関係にある不動産の一部に対する抵当権の放棄とその余の不動産の譲受人が民法五〇四条所定の免責の効果を主張することの可否

平成3年9月3日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 債務者所有の甲不動産と第三者所有の乙不動産とが共同抵当の関係にある場合において、債権者が甲不動産に設定された抵当権を放棄するなど故意又はけ怠によりその担保を喪失又は減少したときは、その後の乙不…

裁判官がした証拠保全における押収の裁判に対する準抗告の決定に対する特別抗告事件

平成17年11月25日最高裁判所第二小法廷決定 裁判要旨 捜査機関が収集し保管している証拠は,特段の事情が存しない限り,証拠保全手続の対象にならない。 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/101/050101_hanrei.pdf 主 文本件抗告を棄却する。理 …