最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-04-21から1日間の記事一覧

甲が丁の強迫により消費貸借契約の借主となり貸主乙に指示して貸付金を丙に給付させた後に右強迫を理由に契約を取り消した場合の乙から甲に対する不当利得返還請求につき甲が右給付により利益を受けなかったものとされた事例

平成10年5月26日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 甲が丁の強迫により消費貸借契約の借主となり貸主乙に指示して貸付金を丙に給付させた後に右強迫を理由に契約を取り消したが、甲と丙との間には事前に何らの法律上又は事実上の関係はなく、甲が丁の言うま…

民訴法118条3号の要件を具備しない懲罰的損害賠償としての金員の支払を命じた部分が含まれる外国裁判所の判決に係る債権について弁済がされた場合に,その弁済が上記部分に係る債権に充当されたものとして上記判決についての「執行判決」をすることの可否

令和3年5月25日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 民訴法118条3号の要件を具備しない懲罰的損害賠償としての金員の支払を命じた部分が含まれる外国裁判所の判決に係る債権について弁済がされた場合,その弁済が上記外国裁判所の強制執行手続においてさ…

被保護者の死亡と生活保護処分に関する裁決取消訴訟承継の成否

昭和42年5月24日最高裁判所大法廷判決 裁判要旨 生活保護処分に関する裁決の取消訴訟は、被保護者の死亡により、当然終了する。 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54970 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/970/054970_hanrei.…

共同抵当の目的である債務者所有の甲不動産及び物上保証人所有の乙不動産に債権者を異にする後順位抵当権が設定され乙不動産が先に競売された場合に甲不動産から弁済を受けるときにおける甲不動産の後順位抵当権者と乙不動産の後順位抵当権者の優劣

昭和60年5月23日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 一 共同抵当の目的である債務者所有の甲不動産及び物上保証人所有の乙不動産にそれぞれ債権者を異にする後順位抵当権が設定されている場合において、乙不動産が先に競売されて一番抵当権者が弁済を受けた…

職務発明について特許を受ける権利等を使用者等に承継させた従業者等が勤務規則その他の定めによる対価の額が特許法35条3項及び4項の規定に従って定められる相当の対価の額に満たないときに不足額を請求することの可否

平成15年4月22日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 1 使用者等があらかじめ定める勤務規則その他の定めにより職務発明について特許を受ける権利又は特許権を使用者等に承継させた従業者等は,当該勤務規則その他の定めに使用者等が従業者等に対して支払う…

地方教育行政の組織及び運営に関する法律五四条二項と昭和三六年度全国中学校一せい学力調査の手続上の適法性  憲法と子どもに対する教育内容の決定権能の帰属

昭和51年5月21日最高裁判所大法廷判決 裁判要旨 一、地方教育行政の組織及び運営に関する法律五四条二項は、文部大臣に対し、昭和三六年度全国中学生一せい学力調査のような調査の実施を教育委員会に要求する権限を与えるものではないが、右規定を根拠とする…

 被告人が,自らの暴行により相手方の攻撃を招き,これに対する反撃としてした傷害行為について,正当防衛が否定された事例

平成20年5月20日最高裁判所第二小法廷決定 裁判要旨 相手方から攻撃された被告人がその反撃として傷害行為に及んだが,被告人は,相手方の攻撃に先立ち,相手方に対して暴行を加えているのであって,相手方の攻撃は,被告人の暴行に触発された,その直後にお…

労働基準法114条の付加金の請求の価額は,同条所定の未払金の請求に係る訴訟の目的の価額に算入されるか

平成27年5月19日最高裁判所第三小法廷決定 裁判要旨 労働基準法114条の付加金の請求については,同条所定の未払金の請求に係る訴訟において同請求とともにされるときは,民訴法9条2項にいう訴訟の附帯の目的である損害賠償又は違約金の請求に含まれるも…

不法行為に基づく損害賠償債務の遅延損害金を民法405条の適用又は類推適用により元本に組み入れることの可否

令和4年1月18日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 不法行為に基づく損害賠償債務の遅延損害金は,民法405条の適用又は類推適用により元本に組み入れることはできない。 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90853 https://www.courts.go.…

労働大臣が建設現場における石綿関連疾患の発生防止のために労働安全衛生法に基づく規制権限を行使しなかったことが屋内の建設作業に従事して石綿粉じんにばく露した労働者との関係において国家賠償法1条1項の適用上違法であるとされた事例

令和3年5月17日最高裁判所第一小法廷判決 判示事項 1 労働大臣が建設現場における石綿関連疾患の発生防止のために労働安全衛生法に基づく規制権限を行使しなかったことが屋内の建設作業に従事して石綿粉じんにばく露した労働者との関係において国家賠償法1…

自筆遺言証書における押印と指印

平成元年2月16日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 自筆遺言証書における押印は、指印をもつて足りる。 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52210 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/210/052210_hanrei.pdf 自筆証書によつて遺…