最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-06-05から1日間の記事一覧

夫婦の一方が他方と不貞行為に及んだ第三者に対し離婚に伴う慰謝料を請求することの可否

平成31年2月19日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 夫婦の一方は,他方と不貞行為に及んだ第三者に対し,当該第三者が,単に不貞行為に及ぶにとどまらず,当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚の…

警察官によるけん銃の発砲が違法とされた事例

平成11年2月17日最高裁判所第一小法廷決定 裁判要旨 警察官である被告人の銃砲刀剣類所持等取締法違反及び公務執行妨害の犯人に対する二回にわたる発砲行為は、右犯人を逮捕し、自己を防護するために行われたものではあるが、犯人の所持していたナイフが比較…

合併により消滅する信用協同組合の職員が,合併前の就業規則に定められた退職金の支給基準を変更することに同意する旨の記載のある書面に署名押印をした場合において,上記変更に対する当該職員の同意があるとした原審の判断に違法があるとされた事例

平成28年2月19日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 1 就業規則に定められた賃金や退職金に関する労働条件の変更に対する労働者の同意の有無については,当該変更を受け入れる旨の労働者の行為の有無だけでなく,当該変更により労働者にもたらされる不利益…

共同相続に係る不動産から生ずる賃料債権の帰属と後にされた遺産分割の効力

平成17年9月8日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 相続開始から遺産分割までの間に共同相続に係る不動産から生ずる金銭債権たる賃料債権は,各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し,その帰属は,後にされた遺産分割の影響を受…

 1社会福祉法人において退任した理事が後任理事の選任をすることができる場合   2社会福祉法人において退任した理事が定款で後任理事の選任に必要とされている同意をすることができるとされた事例

平成18年7月10日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 1 社会福祉法人が理事の退任によって定款に定めた理事の員数を欠くに至り,かつ,定款の定めによれば,在任する理事だけでは後任理事を選任するのに必要な員数に満たないため後任理事を選任することがで…

借地借家法20条1項後段の付随的裁判として敷金を差し入れるべき旨を定めその交付を命ずることの可否

平成13年11月21日最高裁判所第二小法廷決定 裁判要旨 裁判所は,借地借家法20条に基づく許可の裁判をする場合において,同条1項後段の付随的裁判として,相当な額の敷金を差し入れるべき旨を定め,その交付を命ずることができる。 https://www.courts.go.…

民事調停規則6条による民事執行の手続の停止につき第三者が支払保証委託契約を締結する方法によって立てた担保について担保権利者が銀行等に対して支払を請求するに当たり提示すべき債務名義等の相手方

平成11年4月16日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 民事調停規則6条による民事執行の手続の停止につき第三者が支払保証委託契約を締結する方法によって立てた担保について,担保権利者が銀行等に対して支払を請求するに当たり提示すべき債務名義等は,担保…

譲渡担保権設定者の受戻権放棄による清算金支払請求の可否

平成8年11月22日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 譲渡担保権設定者は、譲渡担保権者が清算金の支払又は提供をせず、清算金がない旨の通知もしない間に譲渡担保の目的物の受戻権を放棄しても、譲渡担保権者に対して清算金の支払を請求することはできない。…

正犯の実行行為が日本国内で行われた場合における日本国外で幇助行為をした者と刑法1条1項

平成6年12月9日最高裁判所第一小法廷決定 裁判要旨 日本国外で幇助行為をした者であっても、正犯が日本国内で実行行為をした場合には、刑法一条一項の「日本国内ニ於テ罪ヲ犯シタル者」に当たる。 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/141/050141_…