最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-06-25から1日間の記事一覧

附記登記による所有権移転請求権保全仮登記の流用と附記登記後の第三者

昭和49年12月24日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 金銭債権の担保のため債務者所有の不動産に所有権移転請求権保全の仮登記をするのに代えて、他の債権者の債権担保のため所有権移転請求権保全の仮登記が被担保債権の消滅にもかかわらず残存しているのを…

認知者が血縁上の父子関係がないことを理由に認知の無効を主張することの可否

平成26年3月28日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 認知者は,民法786条に規定する利害関係人に当たり,自らした認知の無効を主張することができ,この理は,認知者が血縁上の父子関係がないことを知りながら認知をした場合においても異ならない。 https…

 論評中の他人の著作物の引用紹介に適切を欠く部分があっても全体として正確性を欠くとまではいえないとして右論評に名誉毀損としての違法性があるということはできないとされた事例

平成10年7月17日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 他人の著作物に対する論評中に、右著作物の記述が第三者の談話をそのまま紹介したものではなく著作者自身の認識判断であるかのような適切を欠く引用紹介部分があっても、他の部分を併せて読むならば、右論…

 行政処分が通知ではなく告示をもって画一的に告知される場合における行政不服審査法14条1項にいう「処分があったことを知った日」の意義

平成14年10月24日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 行政処分が個別の通知ではなく告示をもって多数の関係権利者等に画一的に告知される場合には,行政不服審査法14条1項にいう「処分があったことを知った日」とは,告示があった日をいう。 https://www.…

交通事故と被害者の自殺との間に相当因果関係があるとされた事例

平成5年9月9日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 交通事故により受傷した被害者が自殺した場合において、その傷害が身体に重大な器質的障害を伴う後遺症を残すようなものでなかったとしても、右事故の態様が加害者の一方的過失によるものであって被害者に大…

 将来発生する金銭債務を基礎とする準消費貸借

昭和40年10月7日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 将来金員を貸与する旨の契約が締結された場合には、その契約が履行される以前でも、その金員をもつて準消費貸借の目的とすることを約することができ、その後右金員が貸与されたとき、右準消費貸借契約は、…

監査役との兼任を禁止されている者を監査役に選任する旨の株主総会決議の効力

平成元年9月19日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 一 市町村の助役を取締役に選任する旨の株主総会決議は、当該株式会社が地方自治法一四二条の関係私企業に該当する場合であつても、有効である。二 商法二七六条の規定により監査役との兼任を禁止されてい…

組合契約の無効と組合員のした組合名義による物件売渡契約の効力

昭和41年11月25日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 組合員が組合名義で第三者に対し物件の売渡契約を締結した場合には、当該組合契約が無効であつても、右組合員は右第三者に対し代金債権を有する。 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/958/053…

併合罪関係にある複数の罪のうちの1個の罪のみでは死刑又は無期刑が相当とされない場合にその罪について死刑又は無期刑を選択することの可否

平成19年3月22日最高裁判所第二小法廷決定 裁判要旨 併合罪関係にある複数の罪のうちの1個の罪のみでは死刑又は無期刑が相当とされない場合であっても,死刑又は無期刑を選択する結果科されないこととなる刑に係る罪を,これをも含めて処罰する趣旨で考慮し…