最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

遺産分割協議と合意解除及び再分割協議の可否

平成2年9月27日最高裁判所第一小法廷判決

裁判要旨    
共同相続人は、既に成立している遺産分割協議につき、その全部又は一部を全員の合意により解除した上、改めて分割協議を成立させることができる。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52749

共同相続人の全員が、既に成立している遺産分割協議の全部又は一部を合意により解除した上、改めて遺産分割協議をすることは、法律上、当然には妨げられるものではなく、上告人が主張する遺産分割協議の修正も、右のような共同相続人全員による遺産分割協議の合意解除と再分割協議を指すものと解されるから、原判決がこれを許されないものとして右主張自体を失当とした点は、法令の解釈を誤ったものといわざるを得ない。しかしながら、原判決は、その説示に徴し、上告人の右主張事実を肯認するに足りる証拠はない旨の認定判断をもしているものと解され、この認定判断は原判決挙示の証拠関係に照らして首肯するに足りるから、上告人の右主張を排斥した原審の判断は、その結論において是認することができる。論旨は、ひっきょう、原判決の結論に影響しない説示部分を論難するものであって、採用することができない。