最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-05-02から1日間の記事一覧

宅配便業者の運送過程下にある荷物について,荷送人や荷受人の承諾を得ずに,捜査機関が検証許可状によることなくエックス線検査を行うことは違法である。

平成21年9月28日最高裁判所第三小法廷決定 裁判要旨 荷送人の依頼に基づき宅配便業者の運送過程下にある荷物について,捜査機関が,捜査目的を達成するため,荷送人や荷受人の承諾を得ずに,これに外部からエックス線を照射して内容物の射影を観察する行為は…

遺産分割協議と合意解除及び再分割協議の可否

平成2年9月27日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 共同相続人は、既に成立している遺産分割協議につき、その全部又は一部を全員の合意により解除した上、改めて分割協議を成立させることができる。 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52749…

男性に妻のあることを知りながら情交関係を結んだ女性の慰籍料請求

昭和44年9月26日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 女性が、男性に妻のあることを知りながら情交関係を結んだとしても、情交の動機が主として男性の詐言を信じたことに原因している場合で、男性側の情交関係を結んだ動機、詐言の内容程度およびその内容につ…

生活保護法が不法残留者を保護の対象としていないことは,憲法25条,14条1項に違反しない。

平成13年9月25日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 生活保護法が不法残留者を保護の対象としていないことは,憲法25条,14条1項に違反しない。 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=62831 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_j…

名誉,プライバシー等の侵害に基づく小説の出版の差止めを認めた原審の判断に違法がないとされた事例

平成14年9月24日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 甲をモデルとし,経歴,身体的特徴,家族関係等によって甲と同定可能な乙が全編にわたって登場する小説において,乙が顔面にしゅようを有すること,これについて通常人が嫌う生物や原形を残さない水死体の…

 一筆の土地全部の賃借人が地上に登記のある建物を所有するにいたつたときは、その後右土地が分筆され、建物の存在しない部分につき所有権を取得した者がある場合においても、これに対し賃借権を対抗することができる。

昭和30年9月23日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 一筆の土地全部の賃借人が地上に登記のある建物を所有するにいたつたときは、その後右土地が分筆され、建物の存在しない部分につき所有権を取得した者がある場合においても、これに対し賃借権を対抗するこ…

長期譲渡所得に係る損益通算を認めないこととした平成16年法律第14号による改正後の租税特別措置法31条の規定をその施行日より前に個人が行う土地等又は建物等の譲渡について適用するものとしている平成16年法律第14号附則27条1項と憲法84条

平成23年9月22日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 所得税に係る長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額につき他の各種所得の金額から控除する損益通算を認めないこととした平成16年4月1日施行に係る平成16年法律第14号による改正後の租税特別…

請負人である破産者の支払の停止の前に締結された請負契約に基づく注文者の破産者に対する違約金債権の取得が,破産法72条2項2号にいう「前に生じた原因」に基づく場合に当たり,上記違約金債権を自働債権とする相殺が許されるとされた事例

令和2年9月8日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 請負人である破産者Aが,その支払の停止の前に,注文者Yとの間で複数の請負契約を締結していた場合において,上記の各請負契約に,Aの責めに帰すべき事由により工期内に工事が完成しないときはYが当該請…

大規模な金融機関の全ての店舗又は貯金事務センターを対象として順位付けをする方式による預貯金債権の差押命令の申立ての適否

平成23年9月20日最高裁判所第三小法廷決定 裁判要旨 1 債権差押命令の申立てにおける差押債権の特定は,債権差押命令の送達を受けた第三債務者において,直ちにとはいえないまでも,差押えの効力が上記送達の時点で生ずることにそぐわない事態とならない程…

債権執行における差押えによる請求債権の消滅時効の中断の効力が生ずるためには,その債務者が当該差押えを了知し得る状態に置かれることを要しない。

令和元年9月19日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 債権執行における差押えによる請求債権の消滅時効の中断の効力が生ずるためには,その債務者が当該差押えを了知し得る状態に置かれることを要しない。 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id…

広島市暴走族追放条例(平成14年広島市条例第39号)16条1項1号,17条,19条の規定を限定解釈により憲法21条1項,31条に違反しないとした事例

平成19年9月18日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 広島市暴走族追放条例(平成14年広島市条例第39号)16条1項1号にいう「集会」は,暴走行為を目的として結成された集団である本来的な意味における暴走族の外,服装,旗,言動などにおいてこのよう…

出願公告をすべき旨の決定の謄本の送達があった後にする補正が特許法六四条一項ただし書の要件を具備するか否かを判断する際に基準となるべき明細書又は図面

平成3年9月17日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 出願公告をすべき旨の決定の謄本の送達があった後にする補正が特許法六四条一項ただし書の要件を具備するか否かは、当該補正の時点における明細書又は図面を基準として判断されるべきである。 https://www.…

医師でない彫り師によるタトゥー施術行為が,医師法17条にいう「医業」の内容となる医行為に当たらないとされた事例

令和2年9月16日最高裁判所第二小法廷決定 裁判要旨 1 医師法17条にいう「医業」の内容となる医行為とは,医療及び保健指導に属する行為のうち,医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為をいう。2 医師法17条にいう「医業」の内…